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スイラン side
「(これでは…本当に呪いだな)」
自嘲気味の笑みが零れる。
私を裏切れば死ぬとジュンフィを脅し、ずっと心臓を縛り付け…手元に置こうとしていたなんて。
虚しいことこの上ない。
「スイラン様、大丈夫ですか？」
フェイが心配そうに声を掛けてくる。
私は、なんでもない。と静かに返し、また歩みを始めた。
「これからどうしますか？」
「そうだな、一度中国から離れ態勢を整える。"奴ら"の好きにさせる訳には…」
途中で、ドサッと音がした。
振り返るとフェイが倒れており、目を見開く。
「フェイ…？」
その時だった。
「残念だったね」
ぐさりと、脇腹に激しい痛みが襲う。
何が起きたのかわからず、痛みの場所を確認すると、ナイフが刺さっていた。
そして、あぁ…。と苦しげに声が洩れる。
「…お前の、仕業か…シュラン」
その名を呟き、倒れ込む。
暗闇に溶け込んでいたその存在は、突如姿を現しニヤッと笑っていた。
「ずっとタイミングを窺ってたんだ。なんて言ったって、そいつが厄介だからね」
シュランはそう言うとフェイを指差していた。
「…お前のすることは…昔、から…ろくでも、ない」
「酷いなぁ。"実の娘"に対してそんな事言う？」
「……っ」
痺れを感じるあたり、ナイフに毒でも塗ったのだろう。
まったく…抜かりがない奴だ。
「狙い、は…なんだ…フェイの能力、か？」
呼吸が苦しい。
息も絶え絶えの中、私はシュランに問う。
「そいつはついでなんだよね。ねぇ、組織の情報が入ったUSB。あれどこにあるの？持ってるでしょ？」
「…あれ、か」
私は小さく口角を上げた。
「くれて、やったさ…。お前達が…煩わしく、思っている奴らに、な」
シュランはその言葉に眉間に皺を寄せた。
上手くいかない時、顔に出やすいのは昔から変わらない…。
「…あっそう。なら貴方にもう用はないや。じわじわ死に向かっていく恐怖を感じながら、一人寂しく死ねばいいよ」
それじゃあね、"お母様"。とシュランは嫌味を含めたように私をそう呼び、興味なさげに背を向けた。
「(因果応報とは…このこと、か)」
この結果を、予想していなかった訳ではない。
ただ…少し悲しいだけ。
私は静かに目を瞑った。
「(ジュンフィ…)」
お前の大切なものを守り抜きたければ、お前は決して"組織"を信用してはいけない。
「あぁ…なんと、もどかしいこと…か」
私はもう、祈ることしか出来ないのだな。
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yui(プロフ) - ルカさん» ありがとうございます！それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (
レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 伊狐さん» ありがとうございます！それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - いつも読ませていただいてます。とっても面白いです。パスワードを教えていただきたいです。今後も楽しみみしてます! (2020年5月22日 2時) (レス) id: 7b2d92024a (このIDを非表示/違反報告)
伊狐(プロフ) - この作品が大好きでお気に入りです！パスワード教えてください！これからも応援しています！ (2020年5月22日 2時) (レス) id: c76b536d3e (このIDを非表示/違反報告)
レオナ(プロフ) - ジュンピ落ちがいいです！これからも頑張ってください！ (2020年5月11日 23時) (レス) id: 4de243fabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2020年3月30日 22時
