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スイラン side
崩れゆく建物から逃げ延び、私はフェイと共に暗い道を歩く。
「スイラン様…ジュンフィは」
フェイの言葉に私は歩みを止める。
「ジュンフィの星はまた輝きを取り戻し、運命すら変わり再び動きだした。私の出来ることはもう…、無い」
「…では、奴を手放すのですね」
「………」
手放す。
何故、その言葉が…胸に重くのしかかるのか。
私は自分の手を見つめ、あの日のことを思い出す。
『随分と酷い場所だな』
鼻に劈く悪臭に、私は顔を顰めた。
身寄りのない人間が…自然と集まる場所。
汚らしい、まるで掃き溜めのようなそんな場所で私は、たまたま見つけてしまったのだ。
『お前、名はなんという？』
その存在に。
『……なんで、あなたに教える必要があるの？』
小生意気にそう返すそいつは、掃き溜めと同じく汚い衣類に身を包み、そしてボサボサの髪、飢えのせいかやせ細った身体をしていた。
それ以前に。
『(風前の灯火…遅かれ早かれ死ぬ運命か)』
能力とは違う。
私が元々持つ、不思議な力。
人の死や運命を"視る"力。
目の前の少年の星は、輝きを失いつつある。
『質問を質問で返すのは感心しないな』
『………』
少年はムッとした後、…ジュンフィ。と小さくその名を口にした。
『それじゃあ、あなたの…名前もおしえてよ』
『…は？』
まさか逆に名を訊かれるとは思わず、私は首を傾げた。
『何故…私の名を訊く？』
『だって不平等だよ』
ジュンフィは眉間に皺を寄せ、そう言った。
なるほど。不平等か。
やけに難しい言葉を知っているものだと感心した。
『私は、スイランだ』
『…スイラン？』
『そうだ』
私の名前を何度も口にするジュンフィは、きょとんと…穢れのない瞳で私を見つめて。
『…きれいな名前。まるで花みたい』
そう言った。
初めてそんなことを言われた。
綺麗な、名前と…。
その時からだ。
何故だろうか。
私は、お前を欲しいと思ってしまったのは。
『お前…』
『………？』
『今ここで死ぬか、それとも今じゃない未来で死ぬか。お前はどうしたい？』
気付くと私はそんなことを口走っていた。
え…？と目を見開くジュンフィに私はそっと手を差し伸べる。
『決めろ。でなければ、お前はただ死ぬだけだ』
『………』
恐る恐る握られた手。
小さな手を見て私は、その手を離したくないと思ったのだ。
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yui(プロフ) - ルカさん» ありがとうございます！それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (
レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
yui(プロフ) - 伊狐さん» ありがとうございます！それは誰が為に 5公開しました。 (2020年5月22日 3時) (レス) id: b7a9992a65 (このIDを非表示/違反報告)
ルカ - いつも読ませていただいてます。とっても面白いです。パスワードを教えていただきたいです。今後も楽しみみしてます! (2020年5月22日 2時) (レス) id: 7b2d92024a (このIDを非表示/違反報告)
伊狐(プロフ) - この作品が大好きでお気に入りです！パスワード教えてください！これからも応援しています！ (2020年5月22日 2時) (レス) id: c76b536d3e (このIDを非表示/違反報告)
レオナ(プロフ) - ジュンピ落ちがいいです！これからも頑張ってください！ (2020年5月11日 23時) (レス) id: 4de243fabb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yui | 作成日時：2020年3月30日 22時
