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大地に降り立てば、
血まみれで立ち上がる彼。
確か一度全員で集まった時にいた気がするが、
正直興味がなくうろ覚えだった。
一先ず心を落ち着ける。
'誰だ'かなんてどうでもいいのだ。
「くッ、なんで、お前が…!!?」
A「まだ幼い子供は対象外だ。
そういう君こそどういうつもりだ?
悪戯に力をふるい、死柄木くんの面子を汚すなど。
……殺されたいのか?」
本当は面子なんてどうでもいいのに、
私の口は達者なもので次々と言葉を紡いでゆく。
緑谷「こ、洸太くん!大丈夫!?」
洸太「た、すけてくれた……。」
ああ、よかった。
洸太と呼ばれた少年は元気そうで。
涙も止まってくれたようだ。
それが、本当に嬉しかったんだ。
ありもしない幻覚に、勝手に動いた身体。
まるで宿主様の言うことなど聞きやしない。
ああ、死柄木くんに怒られちゃうかな。
苦し紛れに浮かんでくる言葉は、
直ぐに落ちて消えていって。
…………そろそろか。
A「_______
さようなら、名も知らぬ
「な、………………。」
ドサッ
緑谷「……………………動かなく、なった…?」
パタリと動きを止めた彼を見て、目を見開く2人。
驚くことなんて何もない。
だって彼は、私の
A「…後は煮るなり焼くなり
君たちの好きにすればいい。」
簡単な話だ。一滴でも体内に入った私の血は、
身体中の血管を巡り心臓へ辿り着く。
彼の死因は、心臓に空いた穴による失血死。
A「じゃa
ッ、」
洸太「!アンタ……!」
歩こうとすれば、ぐらりと視界が歪む。
初めて個性を使った為貧血を起こしたのだろうか。
悟られぬようにぐっと立つ。
早く…早くここを去らなければ。
崖から下に飛び移ろうとすれば、
誰かに腕を掴まれた。
緑谷「待って!君、どこかで……」
───デクくん。
A「気安く触るな、殺されたいのか?」
緑谷「あっ、ちが、そうじゃなくて…!」
初めて人を殺したというのに、
気付けばその事は頭から居なくなって。
どうでもよかった。
穢れた命ひとつ消え果てたからなんだ。
むしろ、妹を守れたことが嬉しくて。
( 違う、妹はここにはいない。)
A「…………またね。」
ごちゃごちゃに溶け合った思考を振り切るように
私はデクくんの手を振り払った。
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!!!(プロフ) - 無山さん» ええ、とても素敵な言葉ですね…!教えていただきありがとうございます(><)夢主ちゃんには幸せになって欲しいですよね… (2022年10月4日 11時) (レス) @page21 id: c955538e13 (このIDを非表示/違反報告)
無山(プロフ) - 本当に最高です。「ヒーローは世界を救うために君を犠牲にするがヴィランは君を救うために世界を犠牲にする」僕が何かで見聞きした言葉で一番好きな言葉です!夢主ちゃんはヴィラン側で幸せになって欲しいです♡ (2022年10月3日 21時) (レス) @page24 id: da890bbd5a (このIDを非表示/違反報告)
!!!(プロフ) - 無山さん» ありがとうございます!漫画読んでて、絶対一定数こういう奴らいるよなって思って書いていたので楽しんで頂けて嬉しいです! (2022年10月3日 21時) (レス) @page23 id: c955538e13 (このIDを非表示/違反報告)
無山(プロフ) - 好きです。個性を持っていても他人をいじめる奴らがヒーローになんざなれるわけない。いいですよねぇ自分が馬鹿にしてたものに負ける時の表情!創造だけでも気分が高まる。さいっこうに好きです! (2022年10月3日 18時) (レス) @page21 id: da890bbd5a (このIDを非表示/違反報告)
!!!(プロフ) - 暖かいお言葉ありがとうございます;;6期アツいですよねぇ!!これからもよろしくお願いします! (2022年10月3日 10時) (レス) @page20 id: c955538e13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:!!! | 作成日時:2022年10月1日 18時