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ドアが開く。出掛けていたウィンウィンが顔を覗かせて、Aを見て目を丸くした。来た時よりも大分楽になったのか、Aもニコニコと手を振って、こっち来てくださいとウィンウィンを呼ぶ。
「わ、本物だ」
「…本物だ？」
「だって最近会ってなかったから」
「オッパ、わたしが来る時あんまりいないから」
「だって連絡してくれないじゃん」
「…オッパ、ちょっと可愛くなったね？」
「Aの方が可愛いと思うけど」
『何これ、どんな会話してるの』
「あっ、ドヨンイヒョン来てるよ」
開けたままのドアの前をドヨンが通りかかる。Aが名前を呼んで、へらっと笑ってるAを見て大きくドヨンが息を吐く。僕もそうだけど、こっちの方が子離れ出来ないと思う。Aがいくら大人になろうとしていても、僕たちの中じゃ、まだ小さくて、後ろにくっついていたAのままだから。
「えっと、迎えに来た」
『ほらほら、明日も練習でしょ？』
「ステージ、オッパも見てね」
『もちろん。僕がAを見逃すと思う？』
リビングにいるヤンヤンたちに手を振りながらクンから薬を受け取って、僕は車まで見送ることにした。エレベーターに3人で乗って、真ん中にいたAが、急に僕たちと腕を組む。ぎゅっと縮まった距離で、俯いたまま、Aが1回だけ、鼻を啜った。
「うん、昔と同じ」
『後ろに隠れてたAのこと？』
「この前、こうやって映ってる写真見つけたの」
「ジャニヒョンが撮ったやつでしょ」
「あのね、」
『なに？』
「…もっと大人になっても、ずっと一緒が良いね」
やっぱり今日マフィン食べても良い？と、下を向いて言うAの髪をぐしゃぐしゃに撫でて、エレベーターが到着する。そう言うと思ってもう買ってあるなんて言って、ドヨンもぐしゃぐしゃに撫でるから、耐えられずにAが笑う。下手くそだったのに、いつの間にかよく笑うようになった。僕たち以外に頼れなんて言っても、結局は、僕たちのところに来るAを待っている。子離れなんて、やっぱり出来ない。
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作者名：yom | 作成日時：2021年10月3日 16時
