ペーパームーン 3 (ページ17)

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マイクを付けているヌナに抱きついたら、ヌナの手が僕の頭を撫でた。ヘチャナ？急に動いて大丈夫？と聞こえる声に全部頷いて顔を上げたら、頭にあった手が頬に降りてくる。僕はどんな顔をしているんだろう。なんだかヌナには、何にも隠せない気がした。

『ヌナに、』

「わたし？」

『ヌナに早く会いたかった』

「怖い夢見た？」

『ううん、昨日はちゃんと寝たよ』

「それは良かった」

ヘチャニにはたくさん寝てほしいからねと、僕と顔を近くして、にっこりとヌナが笑っている。ヌナがかけているメガネが、薄っすらと僕の顔を反射させていた。

「A、」

「マークごめんね、遅れちゃって」

「大丈夫だった？」

「うん、テヨンオッパのところに行ってくるね」

「もう来てるよ〜」

A〜とヌナを呼ぶテヨンイヒョンの声がして、ヌナがひらひらと手を振っている。マクヒョンは僕に足は大丈夫か？と聞いて、うんうんと慌てて頷いた。ヌナの手が頬から離れて、そのままヌナが歩き出す。無意識に、手を伸ばしていた。

「わ、」

「ヘチャナ？何してるの」

『え、あっ』

着ているシャツの裾を掴んでしまって、ヌナが少しだけ立ち止まる。パッと離したところには掴んだ跡が付いていて、瞬きをしても、自分の手を見つめても理由なんてわからなくて、ヌナを見つめることしかできなかった。

「…よし、ヘチャニも一緒に行こう」

『えっ？』

「マークもほら、こっち握って」

「いや俺は、」

「皆で繋いだら楽しいよ」

ほらほらとヌナがマクヒョンの手を握って、3人でステージまで登る。見つめたままのヌナが、こっちを向いてにっこりと笑った。僕も混ぜてとジョンウヒョンが走ってきて、けらけらと笑っている。楽しくて、握った手に、力を込めた。

「今日は終わったら、一緒にご飯食べようね」

『ヌナの隣に座っても良い？』

「もちろん」

『僕ね、ヌナと食べるお菓子持ってきた』

「じゃあそれも、2人で食べようね」

僕は知ってる。ヌナが笑うと、空気があったかくなることを。ヌナが楽しそうだと、僕たちも楽しくなることを。ちょっとだけあったかいヌナの手が、ずっと離れなかったら良いのにな。