ルーズカラー ページ1
○JOHNNY
「…ジャニオッパ」
『A？あれ？ここに来ちゃったの？』
「ちょっと迷っちゃって」
『一応聞くけど、誰かに話しかけられたり、』
「あ、ちゃんと断れたので！」
大丈夫です！とAは言っているけれど、断れたということは、誰かに何か言われたのかな。ポニーテールの髪を揺らして、皆でお揃いのジャージをドヨンに上まで閉めてと言われていたのをさっき見たけれど、そういえば、さっきからドヨンが隣にいない。
『ドヨンイは？』
「…あはは」
『Aどこに行ってたの？』
「いつの間にか、1人になってて…」
これはまだあまり知られていないけれど、Aは、時々びっくりするくらい道に迷う。それは大体眠かったり、お腹が空いていたり、逆に緊張し過ぎていたりと色々あるけど、今日はきっとそれに加えて、思っていたよりも多い人と騒がしい空間に流されてしまったんだろう。こうして俺を見つけただけでも、Aにとったらすごく頑張った方なのだ。
『とりあえずドヨンイを探そう。Aを探してるはずだから』
「あ、わたしの携帯、テヨンオッパが持ってて、」
『うん、さっき預けてるの見た』
「オッパは携帯持ってますか？」
『残念だけど、俺も今無いんだよね』
俺はこれから出場しないといけなくて、Aは今日は応援だから、ここにいたらもっと人の波にのまれてしまう。皆がいるところまで案内は出来るけれど、1人でこの子を歩かせるのは、あまりにも、色々と危険すぎる。普段人前では俺たちとは近い距離を取らないようにしているAが、きゅっと俺の手を掴んだ。
『大丈夫？』
「ごめんなさい」
『ううん、Aは何も悪くないよ』
「オッパもうすぐ行かないとだよね」
『とりあえず誰かいれば良いんだけど…あっ、ユタ！』
周りを見渡せば、ちょうど歩いてくるユタが見えた。ユタはAを見て、さっきの俺みたいな顔をして、どうした？と目線を合わせても、ごめんなさいと謝るAはまだ、不安そうな顔が晴れない。
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作者名：yom | 作成日時：2021年10月3日 16時
