チェリーピンクの妖精 ページ46
○HAECHAN
今日はヌナを迎えに行って良いとドヨンイヒョンが何故かにっこりと笑って言うから、なんだか怖くてマクヒョンを呼ぶ。早く！と僕が急かしたせいでまだ朝ごはんを口に入れたまま、誰のかわからないサンダルを履いてドアを開けた。
「ヘチャナ、どこ行くの」
『ヌナを迎えに行く！』
「A？ヒョンは行かなくていいの？」
『今日は僕が行って来いって』
僕たちはもうすぐカムバックするらしい。ファンのみんな…シズニたちは喜んでくれるだろうか。今日はいよいよMVを撮る最初の日で、そんな日に朝からヌナに会えるなんて、なんてラッキーでハッピーな日なんだろう！
インターホンを押して、ガチャリと鍵が開く音がする。ドアが開いてヌナおはよう！と言おうとしていたのに、ヌナ、と呼びかけたところで、自分の息ごと止まってしまった。
「ヘチャナ、どうしたの？」
『ぬ、ヌナ…ほんとにヌナ？』
「本当かって言われたら難しいんだけど、わたしだよ」
マクヒョンでさえも、口を開いたまま固まっている。ヒョンがこれなんだから、僕の反応だって絶対正しい。手を引かれてドアが閉まる音を後ろで聞きながら、ドヨンイヒョンのにっこりと笑った顔が浮かんで、首を振ってそれを消した。
昨日のお昼まで短くて茶色だった髪が、薄いピンク色になって、長さは肩よりもっと長くて、目をこすってもう一度見ても、少し困ったように笑うヌナがいるだけだ。
『…ヌナ、』
「ん？」
『お人形さんみたい』
「それって褒めてる？」
『お人形さんみたいに綺麗だね』
ありがとうというヌナの声と一緒に、マクヒョンが隣でよくわからない声を出す。急に自分の発言が恥ずかしくなって、今すぐここから逃げ出したい気分だ。ここに同い年のあいつらがいなくて良かった。ロンジュニがいたら2ヶ月はいじられる。
「ヘチャンにそう言ってもらえると嬉しいな」
「お、俺も綺麗だって思ってた」
「あ、マーク、ここにパンが…」
「え？」
マクヒョンにヌナが近付いて、それに従って長い髪が目の前でふわふわと揺れる。ヌナのシャンプーの匂いがいつもよりもたくさんして、僕の頭がくらりと揺れた。今日はまだ始まったばかりなのに、僕のライフはきっとゼロだ。
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yom(プロフ) - 花藤さん» とても綺麗な言葉で表現していただきありがとうございます…！頑張ります！ (2021年8月15日 11時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 淡々とした描写の中にきらりと光るそれぞれの感情と、おだやかな余韻がとっても素敵だと思います。一気に拝見しました。更新とっても大変かと思いますが、応援しています。 (2021年8月15日 2時) (レス) id: d70a6e9ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2021年8月10日 18時
