ペールブルー ページ42
○DOYOUNG
何度入っても慣れない会議室を出て、ジャニヒョンと会社の中を歩く。ドキドキした気持ちとか、ワクワクした気持ちとか、同じくらいの不安とか、心と頭の中でぐるぐると混ざり合った感情で、拳をぎゅっと握りしめる。でもソファーで口を開いて寝ているAを見たら、そんなものはどうでも良くなってしまった。
『A、A起きて』
「…うん、」
『ここはいつからAの部屋になったの？』
「Aはここが好きだね」
「太陽が当たって眠くなるんですよ」
さっき見かけた時は弟たちと話すしっかりしたヌナだったくせに、俺たちといると途端にAの姿勢がぐにゃりと緩む。ご飯食べましたか？とAが聞いてくる時は、大体自分のお腹が空いていて、でも1人で食べるのは寂しい時だ。
「Aは何が食べたいの？」
「オッパたちの食べたいもの」
『…何？なんか変なことでもしたの？』
「だって今日は、オッパたちのお祝いでしょう」
ヒョンがAの頭をぐしゃぐしゃと撫でて、髪がへんてこな形になったAがこっちを向く。俺はなんだか、最近涙もろくなってしまったらしい。知らない間に落ちた涙が、ソファーに小さく丸を作った。
「お、オッパ、どうしたの」
「Aが良い子に育ったから感動しちゃったんだよ」
「良い子なら来年誕生日プレゼント貰えるかな？、わっ、」
『…Aにならなんでも買ってあげる』
「じゃあみんなでご飯食べにいきましょうね」
Aが集合！とトークルームに送ったメッセージは、数秒で数字が消えて、会社に散らばっていたメンバーが一斉に集まってきた。ヒョンなんで泣いてるの？ちょっと退いてとヘチャンが早速Aにくっついたけれど、もうなんでも良くなってヘチャンごと抱きしめる。真ん中に挟まれたヘチャンがなに！？と騒ぐ中で、Aがけらけらと笑っていた。
「何食べる？ヘチャンは何が良い？」
「じゃあ僭越ながら僕が決めます」
『そこはAでしょ』
「ヌナの意見は僕の意見だもん」
『A、可愛い弟の我儘が度を超えてるけど』
「じゃあテイリオッパに決めてもらいましょう」
「え？俺？」
『ヒョン、話聞いてた？』
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yom(プロフ) - 花藤さん» とても綺麗な言葉で表現していただきありがとうございます…！頑張ります！ (2021年8月15日 11時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 淡々とした描写の中にきらりと光るそれぞれの感情と、おだやかな余韻がとっても素敵だと思います。一気に拝見しました。更新とっても大変かと思いますが、応援しています。 (2021年8月15日 2時) (レス) id: d70a6e9ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2021年8月10日 18時
