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Aとの距離を少しずつ詰めて遊んでいたら、リビングのドアが開く。俺に隠れて見えなくなったAを探すように歩くヒョンは、なんとなくだけど声が優しい。
「あっAいた…ジェヒョン？何してるの？」
「オッパ、早く。早く行きましょう」
「え、ちょっと待って」
すぐに俺と距離をとったAが、ヒョンの手を取ってドアを開ける。慌てて靴を履きながら、ヒョンは俺に向かって微妙な顔をした。この前Aにお母さんだと言われたあたりから、この人はAのことになると、なんだかいつもより厳しい気がする。
「Aに何かしたの？」
『何にもしてないよ』
「オッパ準備できましたか？」
「あ、うん」
ちょっとAと出かけてくるから！という声は、ドアが閉まる音と一緒に聞こえて、外でヒョンが話している声がする。寝ぼけていた頭は完全に覚めて、帰ってきたらAにお菓子をあげようとリビングに足を進めようとして、部屋に携帯を置いてきたままなのを思い出した。まずは部屋に戻ろうとUターンをした時、玄関が開いて、入ってきたAと目が合った。
「あ、よかった」
『ヒョンが忘れ物でもした？』
「挨拶、してなかったなって」
『あ、俺？』
「他に誰がいるんですか」
そんなこと全く気にしていなかったけど、そのためだけに戻ってきてくれたのだとしたら、まだ俺にだって希望はある。まあこの先ずっと一緒に活動していくんだから、いずれオッパと駆け寄ってきてくれることを願っていればいいんだ。
『行ってらっしゃい』
「行ってきます」
『気をつけてね』
「…オッパも、ご飯ちゃんと食べてね」
バタンと閉まったドアの前で、しばらくそこから動けなかった。どうやら何枚も上手だったのはAの方で、なんで部屋に戻ろうとしたことなんて忘れて、リビングのソファーに寝転がる。ヒョン何してるの？なんて聞くマークに相槌だけを返しながら、なんだか今日は良いことが起こりそうな気がした。太陽はもう、てっぺんに登っているけれど。
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yom(プロフ) - 花藤さん» とても綺麗な言葉で表現していただきありがとうございます…！頑張ります！ (2021年8月15日 11時) (
レス) id: 0ce65e6476 (このIDを非表示/違反報告)
花藤(プロフ) - 淡々とした描写の中にきらりと光るそれぞれの感情と、おだやかな余韻がとっても素敵だと思います。一気に拝見しました。更新とっても大変かと思いますが、応援しています。 (2021年8月15日 2時) (レス) id: d70a6e9ed7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：yom | 作成日時：2021年8月10日 18時
