仰天しました ページ10
｢お腹へった〜…｣
昨夜結局中々眠れなくて寝坊したAは、朝ご飯を食べる時間もお弁当を作る時間もなく慌てて家を出た。
何とかギリギリにならずに会社に着いたのは良いものの、朝食抜きという事実が腹の虫を騒がせる。
｢珍しいじゃん、Aが朝からそんな感じ。いつもしっかりしてる印象だったけど、そんな時もあるんだね？｣
机に突っ伏すAの後ろから声をかけたのは先輩の森田。
入社当初から何かと気にかけてくれていて、妹のように可愛がってもらっていた。
その森田がAのデスクにぽとりと飴とチョコを一つずつ置いてくれた。
｢森田先輩〜…中々眠れなくて、朝起きれなかったんですよー…｣
｢あはは、あんたもそういう時があるのねぇ｣
｢もちろんありますよー…先輩の方こそいっつもぴしっとしてるじゃないですか｣
｢私はほら、旦那と子供のご飯やお弁当もあるからさ。起きなきゃいけないの｣
｢あー…凄いなぁ、本当に憧れちゃう…｣
｢こーら、そんなお世辞言っても何も出ないぞ？｣
なんて少し照れながら言う森田はAの頭を軽い力で痛くない程度に小突く。
そんな事を言いつつもチョコを一つ更にくれるこの優しい先輩がAは大好きだった。
傍目から見ても明らかに一番懐いていて、仲睦まじい先輩後輩なのだ。
基本的にAは誰に対しても人当たりが良く区別を付けない物腰柔らかな人だが、この先輩に対してだけは少なからず素を出しているように見える。
そんなAだから森田も可愛くて仕方ない、と言った感じだ。周りも暖かく見守っているのが見受けられる。
貰ったチョコを一つ口に放り込むと始業時間になり空気がぴりっとし出す。
(今日も一日頑張りますか…！)
なんて意気込んでパソコンに向かえば口に広がる程よい甘さを堪能しながら業務を進めて行った。
この日は何故かトラブルが多く、まともにお昼も取れない事態となってしまい寝坊を悔やむAの姿が時折見られたと後に森田が語る。
見兼ねて何人かの男性社員が小さなお菓子を貢いでいて(森田からはそう見えたらしい)それを嬉しそうに受け取ってはその度にやる気を復活させるA。
森田はこの可愛い後輩が心配で堪らなかった。
何とかかんとかこの日の仕事を終わらせると、時間は既に21時を回っていた。各々疲れた表情を浮かべ帰路につく事に。
(疲れた…空腹も既に良くわかんなくなってるし、スーパー閉まっちゃったからコンビニ寄って帰ろ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 236人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
閑万(プロフ) - 翔乃さん» うわあぁ！コメントありがとうございます、翔乃様…！！まさかこの様な作品にこんなにも素敵なコメントを頂けるなんて思っておりませんでした。キュンキュンしたのすでの方です…！ありがとうございます、日々少しずつ書き溜めておりますので…お待ち頂けると幸いです… (2023年2月3日 23時) (
レス) id: 7197de9df7 (このIDを非表示/違反報告)
翔乃(プロフ) - リアルで起きていることではないはずなのに、なんだかとてもリアルさを感じる作風がとても好きです。小説の中のキヨくんに何度キュンキュンさせられたか！ お仕事されながらの両立は大変かもしれませんが気長に更新を楽しみに待っています！ 頑張ってください！ (2023年2月3日 17時) (レス) id: 859fd3194a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：閑万 | 作成日時：2023年1月4日 10時
