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お互い、緊張の糸がほどけて会話をしていると、ふと気になったことがあった。
「そういえば、祭りの時も今回の件もどうして俺を呼んだんですか？」
『あ、えっと…』
「…あ、いえ、迷惑だとか微塵も思ってないので。純粋に気になっただけです」
そう言うと、安心したような顔に戻って落ち着いてAさんは話し始める。
『…1番信頼出来るから。ですね』
「…ふっ」
彼女らしい言葉に、自然と笑ってしまった。
別に笑う要素なんて微塵も無いのだが。
『な、なんで笑うんですか！』
「いや、Aさんって騙されやすいってよく言われますよね」
『うっ…なんで分かったんですか』
「…刑事の感、ってやつでしょうかね」
俺は適当なことを言って時計を見る。まだまだ彼女と話をしていたいが時間と仕事はそれを絶対に許してはくれないみたいだ。
俺は、椅子から立つ。
「…それじゃあ、そろそろ」
『玄関まで送りますよ』
そう言って俺のあとをついてくるAさんは何というか、小動物のようだった。
可愛い。
その言葉が、心の中で自然と浮かび上がってくる。
何を考えてるんだろうか、俺は。
「…朝ごはん、ありがとうございました」
『いえいえ！こちらこそありがとうございました』
俺はAさんに礼をして、その場から去ろうとしたが、言っておきたいことがあって彼女の元へと戻る。
『…あれ？忘れ物ですか？』
「いえ、言っておきたいことがあって」
『なんですか？』
「…前に何かあれば連絡してくださいって言いましたよね」
Aさんは、よくわからない顔で首を縦に一回振った。
「…訂正させてください。…何かなくても連絡してきてください…では」
鈍感な彼女は、きっとそんなに気付かないだろう。
らしくないことを言った俺は、少しだけ恥ずかしくなってきて必死に冷静を装いながらマンションの階段を降りた。
…俺は、本当に何を言ってるんだ。
『…1番信頼出来るから。ですね』
車の運転席に着いた途端に彼女の言葉を思い出す。
彼女の目にそう見えているなら、わざわざそれを話す必要も無いしそれでいいだろう。
懲戒処分になろうとした俺を水城さんが助けてくれたと教えたらどんな顔をするだろうか。
…きっと笑ってくれると思ってしまう俺が憎い。
せめて彼女の前では、完璧で正義の姿を貫き通しておきたい。
そう思う俺は強欲なのだろうか。
ただただ彼女は鈍感で騙されやすいと思った。
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雫(プロフ) - うみさん» コメントありがとうございます！ 更新する度に楽しく読んで下さりありがとうございます！更新ができない時もありますが、最後までよろしくお願いします！ (2019年9月19日 18時) (
レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 更新される度に楽しく読ませてもらってます！これからもムリせず更新頑張ってください！ (2019年9月16日 20時) (レス) id: 916f75cb10 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「空いてますよ」ではなく、「開いてますよ」です。 (2019年9月14日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 無さん» コメントありがとうございます！この小説を好きと言って貰えて嬉しいです！更新、頑張ります！ (2019年8月31日 7時) (レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
無 - こんにちわ！この小説好きです！更新待ってますね！ (2019年8月30日 22時) (レス) id: 06b55d11a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雫 | 作成日時：2019年8月22日 22時
