ページ ページ18
貴方side
解剖室では、女性の泣き声が響いていた。
母｢警察の方から
息子は殺された可能性があると聞きました｡
火事はそれを隠すための放火やったって！｣
すると解剖室に父親の怒鳴り声が響いた｡
父｢このボンクラ息子!悪さばっかり！
殺されるなら殺されるで､周りに迷惑かけずに
1人でくたばれ!
お前のせいで9人も死んでるんだぞ！
この罰当りのろくでなしが!｣
貴「…。」
デスクルームへ戻ると
中堂さんが1人で作業をしていた｡
貴「中堂さん…聞こえてた…?」
中「あぁ…。」
貴「私さ…わかるんよね…あの言葉…。」
中「どういうことだ...?」
私はタバコに火をつけて
話し始める。
貴「もちろんあのお父さんは本心で言ったわけじゃない。
むしろ自分を抑えるためのもの。
そうでないと願いながらも期待しすぎると絶望するでしょ…。
だから言い聞かせるの。ああやって。」
中「経験者みたいな言い方するんだな。」
私はその言葉にニコッと笑って
タバコの火を消す。
貴「ただの独り言だと思ってや。」
そう言い私は、自分のデスクへ
赤いロングスカートを揺らし戻って行った。
────────────────────
皆が帰った夜────。
貴｢町田三郎さんのご遺体について
見落としがないか見てもらえん?｣
中｢銃創の件は俺でも間違える傷だ｡｣
貴「全然フォローになってないわ!」
そう言い私たちは
いつも通り所長室へ行き書類を確認した。
話の途中で中堂さんは思い出したように報告してきた。
中｢そういえば2作目はピンクのカバだと言っていた｡｣
貴｢ピンクのカバ...。｣
すると悔しそうに中堂さんは
呟いた…。
中｢会いたいって思いが死者に合わせるなら
俺は思いが足りないんだな｡｣
貴｢会いたいん？｣
中｢あぁ｡会って聞く｡
お前を殺したクソ野郎は誰だ｡って
体を切って開いても分からなかった｡｣
中「お前もか?────。」
貴「なわけ。私には皆みたいな複雑な事情がないしね。
申し訳ないけど自由人ってとこなんだわ。」
そう言うと中堂さんはいつも通りの
顔に戻り「そうか。」とだけ零した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雫(プロフ) - 明里香さん» すみません！ありがとうございます！ (2019年1月7日 18時) (
レス) id: b513cb94f0 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 誤字がありました。「久辺部」ではなく、「久部」です。 (2019年1月7日 8時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雫 | 作成日時：2018年8月23日 17時
