【イナGO】お嬢様のお気の召すままに。【天河原】２

第三十九話 ページ9

酷い吐き気。

眩暈。

うるさい鼓動。

何かがガンガンと頭の中で鳴り響く。

剣「先輩、大丈夫ですか？」

京介が私を抱きしめる力を強める。

ハッとして京介の顔を見る。

何度目も見た心配そうな顔。

私、今日ずっと京介にこんな顔しかさせてない。

なんで、自分の事ばかりで京介の事考えられなかったのか。

後悔が私を責めたてる。

目元が熱くなって、涙が零れた。

「うぁ…ッ」

何か言わなきゃいけないのに、嗚咽で言葉が出ない。

教えていないのに知られていた気持ち悪さと、焦りが混じってお腹辺りがぐるぐるする。

心が潰されるような感覚で、苦しい。

剣「先輩。大丈夫、大丈夫ですよ

俺が傍にいますから」

横から私の事を抱きしめていた京介は、一度私から離れて前からまた私を抱き寄せる

そして強く、でも優しく抱きしめて、ゆっくり背中を摩る。

「きょう、すけ…」

剣「なんですか？」

京介もきっと焦っているのに、落ち着いた優しい声で返事をしてくれる。

「だ、っこ。して」

こんなこと京介に頼むのはだめだと分かってる。

でも、こうなった時いつもお父様はだっこして落ち着かせてくれた。

それが、一番落ち着けるから。

京介は驚いて目を見開く。

でも、すぐに微笑んで一度私から離れた。

剣「ちょっと待っててください」

私の頭を撫でてから、京介は学ランを脱いで腕につけているアクセサリーを外す。

剣「よし。

じゃあ抱き上げますよ。ビックリしないでくださいね」

京介はそう言って私の顔を見た後、ゆっくりと抱き上げた。

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