【イナGO】お嬢様のお気の召すままに。【天河原】２ (ページ24)

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第五十四話ページ24

春「お、お父さん…それ本気ですか？」

恐る恐るお父さんに問いかける。

私の問いかけに、ぽかんとするお父さん。

「あぁ、春奈ちゃんを驚かせちゃったかな

見てのとおり、Aは体が弱いからね。」

Aちゃんが体が弱いのは分かる。

でもそれとこれの話は全く関係ないと思いつつ、ははは…と苦笑いをしてお父さんの話を聞く。

「Aにはこの子の亡くなった母親の分まで幸せになってもらいたいんだ。

そのためには、ちゃんと知っている相手の方がいいだろう？

幸い、喜多君はそれなりに地位がある家庭の息子だからね。

でもAが望むなら、みんな婿養子として迎えられたらなぁって考えているんだ」

なんて、この話は早すぎたかなって困った顔をするお父さん。

反応にとても困る…。

「あらパパ、私はパパと結婚するのよ？

一番たちのことも大好きだけど、パパには負けるわね。

パパよりかっこいい人なんて居ないわっ」

「おやおや、可愛い事を言ってくれるね。」

ちゃんと話を理解していないAちゃんは、難しそうな顔をしつつも笑ってお父さんを抱きしめる。

四歳には早すぎる話だ。

でも、Aちゃんの幸せを一番に考えるお父さんなら早い段階から全部決めていきたいんだろう。

といっても、私もまだ十四歳だから難しい事はあまり分からないけれど。

「でもね、パパ」

「なんだい？」

「けっこん、ってずっと一緒に居れるって事なんでしょう？

パパはずっとAと一緒に居てくれるのよね？

だから、パパには負けちゃうけど！仕方ないから一番たちと結婚して、それで…っ

ずーっと一番たちと一緒に居たいわ…」

照れて隠れながらぼそぼそと言うAちゃん。

その言葉を聞いたお父さんはまた、そうかそうかって笑いながらAちゃんの頭を撫でた。

「それじゃあ、Aは立派なレディにならないといけないね」

「あら。私はもう立派なれでぃよ！」

「これはこれは、小さくて可愛いレディだなぁ」

ほのぼのとした空気にふふっと笑ってしまう。

でも、それから四人がAちゃんに会いにくる事はなくて。

しばらく落ち込んでいたけれど時間が経つと吹っ切れて何事もなかったかのようにAちゃんは成長していった。

それが、10年前のお話。