【イナGO】お嬢様のお気の召すままに。【天河原】２ (ページ19)

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第四十九話ページ19

「いい加減にして！」

大声で叫ぶ。

少し離れたところに入る隼総と喜多もこっちを見た。

私だって、もう我慢の限界だから。

好きじゃない相手にキスなんてされたくないから。

星降は頬を叩かれたまま、全く動かない。

無表情のまま、目を伏せたまま。

その態度がまた気に食わなかった。

「私は！あんたたちの物じゃないわ

気安く触れられるのも、キスされるのも気持ち悪いだけよ。

お父様に選ばれたからっていい気にならないで！

朝言った事も、本心だけど。でもこんなことしていいって言ったわけじゃない!!!」

星降の腕を振り払って蘭丸の傍まで走る。

心配してたのが、あほらしくなってきた。

この四人は、私の事なんて好きじゃないのよ。

物と同じ扱いで。

天野財閥の権力と名誉が欲しいだけ。

「なんで、あんたたちなのよ」

京介なら、よかったのに。

フィフスに居たころから、京介の事を見てきたのに。

お父様も、知っているはずなのに。

「なんで、京介じゃないのよっ」

下を向いて、言い放つ。

下を向くと、ずっと隠されていた傷が目に入った。

軽く穴が開いているように見える。血は止まってるけど。

あぁ、傷を見たら痛みが倍増した。

とても痛い。しびれるように、ズキズキと痛む。

「いた…っ」

傷の少し上のところを掴んでしゃがみこむ。

目をぎゅっと瞑って見ない様にしても、もう遅かった。

剣「先輩!?」

ちょうど、先生を連れて帰ってきた京介がしゃがみこんでいる私に近づいてあたふたする。

帰ってきたのが、今でよかった。

もう少し早かったら、見られていたから。

円「おいおい、お前ら見ないと思ったらこんなところに居たのか。

A、大丈夫か？」

「監督…、大丈夫に見える…？」

円「全く見えないな。よし、保健室行くぞ」

苦笑いして私の頭をわしゃわしゃと撫でる監督。

そして、私をお姫様抱っこした。

円「Aは保健室に連れて行くから、お前らは授業にもどれ。」

喜「はい、分かりました。

隼総、大丈夫か？」

隼「あぁ、もう平気だ。すまない」

落ち着いた隼総が立ち上がってこっちを見てくる。

私は監督の胸で顔を隠して周りを見ないように目を瞑った。