おねえちゃんだから. (ページ9)

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「疲れが溜まってたんだろうな…今日は傍にいよう」

「え……ほんと………?」

思ってもみなかった言葉。だけどずっと聞きたかった
“シャンクスが私の傍に居てくれる”

今日はずっと、甘えていいのかな

「ほんとにほんと……?」

「ああ。本当だ。お前にはずっと我慢させちまってたからな」

『中々遊んでやれない分、今日は1日傍にいるぞ』

ああ

ああ。ああ

ずっとしてほしかった。ずっと聞きたかった
ずっと言って欲しかった

『傍にいてやる』って

堪えていたものはどんどん溢れでた。心からも

「お、おいおい、大丈夫か!?」

「うん……うん……へーき……っ!」

嬉しくて泣いた。泣いた
ずっと我慢してたそれは止まることを知らずに、溢れ続けた

「あ〜………よーしよし〜、よ〜い子だ〜…」

突然シャンクスが変な歌を歌い出す
その声はどこかぎこちなくて、でも不器用な優しさが混ざっていて
ふ、と笑ってしまった

「シャンクス……変な歌……」

「変とはなんだ、変とは」

そう言いながらもシャンクスは優しく笑うと私の頭を撫でる

ああ…今日だけは

今日だけはシャンクス(お父さん)を独り占めさせて、神様

だけど神様はとても意地悪

そんな時間さえも、ひと時の幸せでさえも、私から奪い去ってしまうの

お昼がすぎた午後

シャンクスはベックマンさんに呼び出されて少し席を外した

「すぐ戻るからな」

「うん」

シャンクスは私の頭をポンポンと撫でるとベックマンさんに連れられて部屋を出ていった

ベッドの中でつい綻んでしまう顔を隠した

今日は私がシャンクスを独り占めしていいんだ

誰がでもない。私が

「ん?」

すると扉がコンコンとノックされる

誰かな?

「どうぞ?」と声をかければ扉が開かれる

開いたドアの先に居たのは

＿＿＿＿ウタだった

なんで?なんでウタがいるの?

だってウタは今ガブさんやジュースさんが見てるってシャンクスが言ってたのに

どうして?

するとウタは私がいるベッドの側に近づいてくる

「…ララ……いたい?」

今にも泣き出しそうな顔でこちらを見つめた

心配してくれてるんだ
ウタの優しさに心が痛んだ
こんな小さな瞳を揺らして、私の傍に来て、手を握ってくれて

私の手より少し小さな手

だけど。それと同時に私の感情は酷くねじ曲がっていた

『なんで来たの?』

ウタが心配して来てくれた優しさよりも、嫉妬が渦巻いて出てきた感情(きもち)だった