おねえちゃんだから. (ページ21)

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#21 ページ21

言い表せる言葉なんて無いという位に
痛みはどんどんと増していく

勘弁してよ。どうして今なの

ぐっと拳を握り、顔を俯かせた

痛い。痛い痛い痛い痛い。

痛みがジュクジュクと這い上がってくるよう

ウタが横で何かを言っている。だけどそんな事さえも今は耳に入れられないくらい

なんて最悪な日

今日に限って。散々歩かされるし。痛み止めの薬も切れてしまっていて
神様はとことん苦しめる事が好きなのね?

「ララ…どうしたの?」

「……ううん。なんでも、ない」

ゆっくりと顔を上げればあどけないウタの瞳が私を見つめていた

やめて。そんな顔しないで。瞳で見ないで

ウタの真っ直ぐな瞳は穢れた私の心さえも見透かされているように感じる

「…ウタ。私ちょっと少しだけ席外すね」

この空間に居たくないというのもあるけれど。いよいよ限界がきた
痛みは最早下半身全体に広がっていた

「?…うん。また来る…?」

「…うん……だから。少しシャンクスの傍に居て、ね?」

精一杯の笑顔をウタに向ける

お願い。気付かないでね

そう願いながらウタに微笑む
上手く騙せたのか
ウタは笑顔で「うん！」と答えてそのままシャンクスの元へと駆けていった
それを見届けるギリギリで私は力を振り絞り、何とか酒場を出た

兎に角今は部屋で休みたい
誰もいない空間に居たい。眠りたい
静かな場所へ。早く。早く

だけど気持ちと裏腹に身体は言うことをきかない

腰の痛み。下腹部から足まで一気に駆け巡る重すぎる痛み。更には目眩

まるで私に『潰れろ』と言わんばかりに一気に症状が現れ出す

冷や汗も出てきた

もうやだ。本当やだ。なんで私ばかり

私の本音なのかそれともただ単にその月だからそう思うだけなのか

曖昧で思考もだんだんと薄らいでゆく

酒場を出てまだほんの数分。なのに未だ動けずにいた
仕舞いにはその場で膝を着いてしまった

こんな所をもし見られたら

想像しただけで悪夢に感じた。早くここから離れなきゃ

ああだけどでも。身体が動かない

最終的に私はゆっくりと地面に身体を伏していた

ダメだよ。動いて。私

こんなところをシャンクスに、ウタに、みんなに見られたら
なんて思うだろうか

ただでさえもウタを大事にしている彼らにとってこんな手のかかる事を気付かれたら

“お荷物”だと下ろされる

それだけは嫌だ。私の居場所は“おねえちゃん”しかないのに

嫌だ。動け。動け。おねがいだから

「…うご、いてよ……ねぇ…」