シルエット

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「あかん。
痕残ったら大変や」


大毅は、俺に、めちゃめちゃ過保護や。


絶対におんぶするってうるさくて。

半分強引に背負われた。


俺を背負った大毅が、
立ち尽くしてる生徒たちをかき分けるようにして、
歩き出す。


さっきまでうるさかったくせに、

怪我したってワードにビビり出したんか、

みんな、しーんと静まり返って、

道を開け出した。


俺は、ずっと、ドキドキしてて・・・


成瀬の隣、通り過ぎる時、

睨みつけられた。


何か感じてんのかな。

同じ人を好きやねんもん。


理屈やなくて、分かるんかもしれへん。









どこの学校も、保健室の先生は優しい。

まだ若い男の先生で、
桐山先生言うらしい。


手当てしてくれた後、


「軽い打身と擦り傷やから大丈夫やけど、
貧血っぽいし、球技大会終わるまで寝といたら？」


言うてくれはった。


この先生には、
このままサボりたかったん、バレてたんやろうな。

全然、貧血なんかとちゃうもん。


「えっ！そうなんすか？
あかん。
とも、はよ寝とかな！」


大毅、さっきから名前で呼んでるん、
気付いてへんのかな。

心なしか、声も甘い。

彼氏そのものやん。

そもそも、普通の男友達って、
どんな喋り方するんやったっけ？


桐山先生、変に思ってへんかな。


けど、しばらくして、

職員室から電話かかってきてな。


「ちょっと行ってくるから、
二人で留守番しといてくれる？
他の子がもし来たら、
職員室に内線入れてや」


そそくさと桐山先生は出てかはった。


大毅と二人きり。

途端に心臓がうるさなる。


最近の悩みと言えば。

大毅はキスより先のこと考たりしいひんのかなってこと。


健全な男子高校生のはずやのに、
普通なら、興味あるよな。


俺が男やから、対象外なんかもしれへん。

それなら寂しい。


俺、変やな。


自分かって、
女の子にしか興味ない思てたし、

告られた中で一番可愛い子と付き合ってきた。


高校なってから付き合った子とは、

この辺かな、って、
タイミング見計らって、
先にも進んだし・・・


けど、大毅とは違う。

考えただけで、胸が苦しなるねん。


「とも。はよ寝なあかん」

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