シルエット

止められない恋心。１ ページ31

赤side


ケーキ頬張ってる神ちゃんが、
あんまりにも可愛ええから。


気付いたら、願望が声になってもうて。

気付いたら、キスしてしもてた。


俺はっ、なんちゅうことをっ。


今更、シャレにもならんやろ。


それに・・・


冗談になんかしたくない。


俺、本気やねん。


神ちゃんが好き。

めっちゃ好き。

この世の誰より大好きや。


「なっ、なっ、何するねん」


怒られるんは、分かってた。


けど、案外、優しい声でほっとする。


「何って、キス」


「やから。
なんで俺にキスなんか・・・」


「したかってん。
俺、今の、ファーストキスやった」


「そんな、大事なもん、俺でええん？」


「神ちゃんは、した事あったやろ？」


「まあ、うん・・・」


神ちゃん、うなづいたけど、
誤魔化すように、俺から目を逸らした。


彼女おったって言うてたもんな。

都会の高校生は、
キスぐらいするんやろなってことは、
俺にも、想像ぐらいは出来てたけど・・・


けどどうしても、妬けてまう。


「嫌やな。
俺が初めてなら良かったのに・・・」


「ちょ、しげ、さっきから何言ってんの？」


びっくりした顔してる神ちゃんも、可愛ええ。


「神ちゃん、可愛いから。
キスしたなった。
どうしても抑え切られへんかってん」


「・・・しげ。
俺、男やで？」


「うん。
それは知ってる。
けど神ちゃんより可愛い人、
俺は見たことないもん」


「それはさ、
あの島は人口が少ないし、
若い子もほとんどおらんし。
今はそう思うかもやけど、
俺より可愛い女の子なんか、
山程おるで？」


「そんなん知らん。
それに、今日街に来て、
女の子なんか星の数ほど見たけど、
神ちゃんがダントツで一番可愛いかった。
なあ、神ちゃんはさ、
俺にキスされて、嫌やったん？」


聞くん、めっちゃ勇気がいった。

本能のまんまキスしてもうた時よりももっと。


当たり前やろ、アホか。

きしょいねん。


神ちゃんなら、こんぐらい、言いそうやし・・・


覚悟してたら。


「・・・ううん。
嬉しかったよ」


そんな可愛ええ返事が返ってきて。

経験した事ないトキメキん中におって、
俺、放心してしもてた。

２→←６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す