シルエット

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「うん。
そやんな。ごめん」


俺、無神経やった。

自分の故郷、バカにされたら、
誰かって、嫌な気持ちになるよな。


「・・・謝らんでええねん。
俺はただ、神ちゃんに笑ってて欲しいだけ」


「なんやねん、それ」


最初は、しげの存在、うざいって思ってたのに。

今は、だんだん、心の拠り所になってる。


しげとおると、
どうしようもない、孤独感が薄れる。

一緒におると、ほっとするねん。


けど、しげは、それでええんかな。


最近、
俺以外のヤツと一緒におるん、
見かけへん。


よそもんの俺のせいで、
しげが嫌な思いしてんちゃうかなって。

時々、不安になるねん。









７月最後の土曜は、
年に一度の夏祭り。

この辺では、一番気合の入る行事らしい。


昼過ぎに、

しげが、俺のはっぴを持って、家にやって来た。


お母さんは、俺に友達が出来たって喜んでる。


はっぴは、青で結構派手なやつ。


「それ着て、俺の神輿見といて！
そんで１８時に神社の鳥居の下で待ち合わせな！」


なんか、デートみたいやなって。

ふと浮かんだ考えを、
慌てて打ち消す。

俺、何考えてんねやろ。


今日の夜は、
前の高校で一緒やった流星が、
泊まりに来てくれる。

明日、一緒に神戸の流星んちに行くねん。


夏休みぐらいは、
地元の友達んとこ遊びに行っておいでって、
お父さんも言うてくれた。


祭りは早々に切り上げて、
船着場まで、
流星を迎えに行こうって思ってる。


しげに流星を紹介したい気持ちもある。

どうせなら、俺の友達のこと、知っといて欲しいなあって。









夕方の５時頃に、
神輿が界隈を回り出した。

しげは一番先頭で張り切ってる。


真っ赤な男らしいはっぴ着てさ。

汗かいてる姿。

真剣な横顔見た途端、


なんでか、胸がきゅってなった。


俺、本格的におかしい。


いうか、俺、正真正銘の男やのに。


なんで・・・




１８時５分前。

約束した神社の鳥居の下に着いた。


その近くで、
浴衣姿の成瀬真琴が友達数人と話してる。


この子、
しげの幼馴染で、
しげに片想いしてる。

鈍感なしげは、気付く気配もないけど。

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