【小説版】悲劇のブラックスワン (ページ11)

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先輩、もしくは体育少し前ページ11

「よーし！！体育！！体育！！」
「あれ……今のって」
「そう、だね？」
　一人の少女が廊下を走っていく。それを眺めながら、銀縁眼鏡の少女と、少女のような外見の少年が呟いていた。
「冬乃ちゃん、だよね？」
「そう……見えたけど」
　彼らもまた「悲劇のブラックスワン」メンバー、アフセンディアこと乱咲桜花とダークネスサーガこと深淵麻音である。
　ただし、学年でいうと冬乃たちよりも一歳年上。先輩にあたる。
　そんな彼らに、三つの影が話しかけた。
「あ、桜花先輩」
　ひとりは「悲劇のブラックスワン」メンバーの笑想愛那だ。桜花とは部活の先輩後輩関係にあたる。
「笑想さん、おはようございます。次は体育なんですか？」
「はい、それで冬乃が早く行こう行こうって言ってたんですけど、結局一人で行っちゃって……」
「そうなんだ……大変だね」
「本当だよ……」
　もう一人の少年・神堂月が困ったようにため息をつく。
　そこで麻音は、そこにもう一人人がいることに気付いた。
「……あれ、君は？見ない顔だけど」
「俺は１年の神堂跳姫です、月と今クラスメイトなので」
「神堂……ということは、月さんと兄弟なのですか？」
「義理の兄弟ですけどね」
「そっかぁ……僕兄弟いないから羨ましいなぁ。あ、僕は深淵麻音。こんな顔だけど男だからね。こっちは乱咲桜花」
「よろしくお願いします」
「よ、よろしくお願いします」
　二人の一通りの自己紹介に跳姫は頷く。
　ふと、月が腕時計を見た。
「あ、そろそろ着替えないとやばいんで、ここで」
「あ、はい」
「そういえばこっちも次化学だったね、忘れてた！じゃあね！」
「では、また！」
「あ、はい！」
　立ち話していたら時間をすっかり忘れていた。
　一同はばたばたと各々の目的地へ向かう。