【小説版】悲劇のブラックスワン

午前零時の影 ページ2

――午前零時の、鐘が鳴る。
　暗黒に閉ざされた街で、幾つもの影が躍っていた。
　静寂をかき乱すような醜い悲鳴が響く。あちこちで血飛沫が舞い、夜を紅く染める。
「……奴らが……現れたのか」
　呟いた誰かの声は掻き消えた――その生命と共に。

　ナイフを持った少女が飛び出す。黒のローブがはためき、無数の首が飛ぶ。
　それに続くように長髪をポニーテールのように結わえた青年が刀を踊らせ、首を掻き切ってゆく。
　色白でオッドアイの少女を中心に弾幕の舞い、硬直する人々の命を刈り取る。
　逃げようとした者たちの全身に、容赦ない刃が突き刺さる。銀が混じった黒髪の青年が投げたそれだ。
　爆発音が響く。耳障りな絶叫を背に、少女のような外見の少年が再び手榴弾を飛ばす。
　その爆発に隠れ、三つ目の少年が日本刀を振る。人々の首から血が噴出し、人形のように倒れ伏す。
　無数に弾幕と銃声が重なる。美形の青年が通る。彼の歩いた場所は既に、血の海だ。
　苦悶の声が醜く響く。黒い白衣を纏った姿が紫色の顔をして倒れる男から離れる。
　同時に反対側で血飛沫が上がる。少女の銀縁眼鏡と銀色のナイフが月光を反射した。
　銃声が高らかに響き、同時に長いナイフを持った姿が闇を、人々の生命を切り裂く。
　鉤爪が舞う。小さな姿が躍り、血の雨が降る。
　――と、凄まじい冷気が周囲を包んだ。液体窒素の煙が霧のように周囲を包む。
　驚いて逃げ惑う人々の首を、剣鉈が容赦なく掻き切ってゆく。
「やめろ……やめろ。それ以上来るなああああああああああああ！！」
　最後の悲鳴を、一筋の弓矢が切り裂いた。
　夜は、静寂を取り戻す。

　――ブラックニアデスジャック。
　――真・画竜点睛。
　――暗黒のスナイパー。
　――エンドレスドメイン。
　――ダークネスサーガ。
　――デスレールロード。
　――夏竜〜karyu〜。
　――アフセンディア。
　――フューチャーバッドメイキング。
　――ミーナ。
　――ミントティアーズ。
　――キャットカルニバル。
　――隼。
　――マスクレインブラッド。
　――レッドローズシック。

　彼らこそが、悲劇のブラックスワン。
　最強の、暗殺組織だ。

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