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クラクションの音が聞えて前に視線を向けると、ボードが窓から出された。
クライムのリザルトは東堂さんがとっている。
箱学のみんなの表情が緩んでいるけど、私がもっと早く小野田くんを引っ張れて離脱していたらと思うと後悔が襲った。
しょんぼりと視線を落とすと、田所先輩がよくタイム差を見ろと言って、私はもう一度ボードに視線を上げる。
「ぁ・・・」
ほとんど差がない、3分差から追いついてコンマ数秒差。
田所先輩が巻島先輩はギリギリの戦いをしたんだと言って、金城先輩が巻島先輩は最高の仕事をしてくれたと言った。
3分差で・・・・巻島先輩は本当にすごいクライマーだと思った・・・。
「今日最後のオーダーだ。今泉は俺と出る。姫は小野田の後ろで足を休めろ。辛いだろうが千切れず着いて走りきれ」
「は、はいっ」
「小野田は姫と鳴子と田所を引いて、途中で巻島を回収。出来る限り早く確実に走れ」
「はいっ」
箱学の荒北さんが福富さんを引いてペースを上げて、今泉くんは金城先輩を引いて走り出した。
私への今日最後のオーダーは、足を休めて力を使うなと金城先輩の目は語っていた。
私はみんなより体力が無いから、持っている以上の力を出してしまえば、3日間のロングライドのレースは走りきれない。
他の選手との体格差ももちろんあるだろうけど、男女の差というものが1番大きいんだろうと思う。
そう思うと・・・少し、泣きたくなった。
そんな時・・・前方に見えた玉虫色の髪と、東堂さんの後ろ姿が見える。
巻島先輩・・・・っ。
どうしよう・・・まず何て言おう・・・。
ごめんなさい?それとも・・・?
追いついた私たちに気づいた2人は振り返って、そして、目を見開いた。
「「姫・・・っ!?」」
私の隣りに下がってきた巻島先輩は、汗だくで、息も上がってて、疲れた顔をしている。
私は目を合わせるのも申し訳なくて俯いてしまった。
「ま・・・きしま、先輩・・・。あの・・・っ。わ、私・・・っ」
「・・・っ」
「ひゃ・・・っ!?」
突然、長い腕が肩に回って、巻島に支えられるように引き寄せられた。
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瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» 嬉しい感想ありがとうございます^^メロメロ・・・なんて素敵なお言葉でしょう(嬉)そしていつも温かいお言葉とても励みになります。今後も頑張ってまいりますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年12月24日 19時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 姫ちゃんはどうなってしまうのか、次回が気になっちゃいます!荒北さんの誤解がとけて良かったです♪皆さん姫ちゃんにメロメロですね!更新頑張って下さい*^^* (2019年12月24日 12時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - Mayuさん» 嬉しいコメントありがとうございます^^大好きと言っていただけてとても励みになります♪今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年12月17日 2時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
Mayu(プロフ) - 第9期,お疲れ様でした!瑠璃さんの作品,大好きです!これからも頑張って下さい。応援してます! (2019年12月16日 15時) (レス) id: bf6e64c20c (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ふたばさん» ありがとうございます^^ゆっくり構想を練りたいと思います。いつも励みになっております(*^^*) (2019年12月16日 4時) (レス) id: d25e595259 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2019年10月7日 6時