弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第９期】

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巻島ｓｉｄｅ



給水所近くで鳴子が姫と小野田がいないと声を上げた。

姫は小野田を補助しなが金城たちを引くという過酷なオーダーを受けて、小野田の後ろを走っていたはずっショ。


後方集団で落車が発生と誰かが叫んだ声が耳に飛び込んできて、まさかと思った。

小野田はクライマーで、これから入る登りではチームを引く役割がある。



姫だけでも誰かが前に出れさえすれば、引くことは出来る。

だが、どちらかがいれば何とかなる場面で、どちらもいない現状、この先の登りを引ける奴は１人もいない。


姫････無事なんだろうな？

まさか、小野田に着いたまま落車してるなんてことは･･･。



クラクションの音が聞えてボードで小田原ポイントのリザルトが表示される。

最下位に･････姫の名前があった。




「嘘だろ･･･」

「姫･･･っ。無事なんか！？まさか小野田くんもか？？」




今泉と鳴子が声を発するが、金城と田所っちは黙ったままだ･･･。

金城が一拍置いて口を開くのを見て、俺は目を閉じて覚悟を決めるしか出来ないっショ。




「巻島。前へ出ろ。････すまんな」

「クッハ。金城は気を使いすぎっショ。去年だってそうした。俺がてっぺんまで連れて行ってやるよ」

「ちょっと待ってくださいよ！！姫も小野田くんもリタイアやない！このまま足緩めて待ちましょう！」




鳴子の言葉を否定する。

山では弱い者は落ちる。

いなくなっちまったもんはしょうがねえだろうと･･･。



クソ･･･っ。



姫は、怪我してるんじゃないか？

小野田はどうしてる？

今すぐ確認したい気持ちを押さえ込むのに精一杯で、無言になった俺の耳に、金城の言葉が聞えてきた。




『山での判断は巻島に任せる』




待ってやりてぇ･･･、だがすぐ後ろには箱学が迫っている。

クソ･･･クソ････っ。



切り捨てる、それはチームの判断としては正しいだろうよ。

何で今、姫の顔が頭に過ぎる･･･っ！！


小野田は････肝心なとこでポカやらかしたっショ････っ！！

姫････小野田･･･俺たちは、先に行く。



東堂･･･悪い････勝負はお預けになりそうだ。

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