弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第７期】

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泉田さんはある程度のペースならついていけることを知っているから、あまり心配していないのかもしれない。

でも、福富さん、東堂さん、荒北さん、新開さんの３年生の４人は、私が自転車に跨るだけで心配そうだ。


先頭に泉田さん、その後ろに福富さん、東堂さん、新開さん、私、荒北さんの順番でコースを走り出したけど、泉田さん以外のみんながチラチラと視線を向けてくれていることに申し訳なくなるよ。

後ろからは絶えず荒北さんから声をかけてもらっている。





「姫。このペースで大丈夫か？無理すんじゃねぇぞ？」

「は、はい。これくらいでしたら、大丈夫です」

「少しでもフラついたら自転車から降ろすかんな？」

「えぇぇ･･･？大丈夫ですよ」

「ええぇ･･･、じゃねーよ。これは決定だ！強制だ！破んじゃねぇぞ？」

「で、でも。本当に、大丈夫ですから」

「でももだってもねぇよ！たくよぉ」





ずっとこんな調子で心配してくれているけど、前を走る新開さんと東堂さんの表情が心配から苦笑いに変わっている。





「随分と入れ込んでいるのだな。心配というより、あれは庇護欲というやつだな」

「まあ、あれだけ過保護に姫さんを見ているんだ。俺たちが心配する隙もないくらいだ」





どうやら荒北さんが皆さんの心配していること全てを言っているようで、この分ならすぐに私の疲れや変化に気づくだろうと安心したみたい。

でも、こんなに大切にしてもらって、私の精神修行になるのかという問題が出てきたかもしれない。


息は上がっていたけど、コース１周分はなんとか着いてこれてホッとした。


よく着いてきたなと福富さんは褒めてくれたけど、なんだか総北のロードより甘やかされてしまっている気がする･･･。

はふっと息をついて汗を拭いていると、荒北さんが私の頭をワシワシと撫でてくれる。





「･･･大丈夫かよ？」

「はい。何とかですけど、ついていけました」




そう言って笑顔で荒北さんを見上げると、荒北さんはポツリと『たったの４日か』と呟いて、そっぽを向いてしまった。

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