42 ページ42
新開さんは荒北さんのお話が出てくると、『へぇ。それで?』と興味深そうに続きを促してくれる。
「私は、体も小さくてこんな感じですから、荒北さんは最初、私を迷子になった小さな子供だと思って、涙を拭いてくれて、だっこしてくれて、逸れた両親まで探しそうとしてくださったのです」
「へぇ。靖友にしては珍しい行動だ」
「ふふ。でも、すぐににぃさまと金城先輩に発見されてしまって、私が総北の自転車部だと分かって混乱させてしまいました」
「だああぁぁっ。もうその話はやめれっ!」
私の思い出話をしてしまって、荒北さんがご乱心に・・・。
でも、あの時の出会いは私にとって、とてもいい思い出だから、聞いてもらえて嬉しかった。
息が少し上がってきて、荒北さんが隣りからボトルを渡してくれたからお礼を言って受け取る。
スポーツドリンクはまだ冷えていて、体の熱が少し引いてホッと息をつくと、荒北さんが『しまった・・・間接・・・っ』と呟いた。
そして突然。
「・・・・っ!他意はねぇかんなっ!!」
と一言叫んで自転車から降りると、ベンチに置いていたタオルを掴んで出て行ってしまった。
一体何があったのかなと考えていると、新開さんが面白そうに荒北さんの出て行った扉を見つめて私に説明してくれる。
「ああ。靖友は照れてたんだよ」
「え・・・?何か私、失敗してしまいましたか・・・?」
「言ってもいいけど、うーん。やっぱり止めとこうか」
「えぇぇ・・・」
新開さんはククっと笑うと、『1時間経ったよ』と教えてくれて、3本ローラーに乗っていた私ごと自転車を持ち上げて下ろしてくれたので驚いた。
新開さんって体が大きいから、力もあるんだね・・・。
荒北さんが何に照れて、何に対して他意が無いと言ったのか気になったけど、新開さんはその件について、もうお話してくれる気はないらしい。
新開さんのタオルで私の汗を拭いてくれて、あわあわしている時にBルームの扉が開いた。
荒北さんが戻ってきたのかと思ったけど、入ってきたのは笑顔で『遅刻しましたぁ』と言った真波くんだった。
159人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» 素敵な感想をありがとうございます^^状態異常という表現に嬉しすぎて笑っちゃいました(笑)神・・・なんて素敵なお言葉いただけるなんて光栄です><今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年10月29日 3時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - 荒北さん(箱学メンバー)との合宿、最高すぎて“悶える”という状態異常にかかりっぱなしでした^^この作品神がっかてます! (2019年10月28日 22時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - ソラさん» いつも感想ありがとうございます^^たくさんコメント頂けて嬉しい限りです♪何度も読み返してくださって感激です!推しが決まらない内はブレブレでいろんな方に愛していただきますね★今後ともよろしくお願いいたします('-'*) (2019年8月4日 1時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ソラ(プロフ) - 何度もコメすみません(^^;) 荒北さんのお姫様抱っこに触発されてまた1話から全部読んできちゃいました(≧∇≦)何度めかな笑。読むページによって推しが変わりますが姫ちゃん可愛い過ぎますね。箱学の押せ押せ楽しみにしていますね(^ ^) (2019年8月3日 18時) (レス) id: c7e90ea51e (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - 的場琳さん» 嬉しい感想ありがとうございます('-'*)総北陣の大人しさが際立つ箱学の押せ押せを執筆できればと思います。今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします^^ (2019年7月30日 21時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2019年5月31日 2時