弱虫姫奮闘記―癒しの姫君【弱虫ペダル】【第６期】

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はふぅ･･･と、息をついて温泉に浸かりながら、ふと気づいたことを口に出してみる。



「屋上の露天風呂って、１階の露天風呂よりもライトアップされていないんですね。少し暗くてちょっぴり怖くなります･･･」

「ああ？そういえば･･･。って、怖いのか？」



荒北さんに質問を返されてしまったところに東堂さんが自信満々な笑顔で答えてくれた。



「ふふふふふ。姫よ！怖がることは無いぞ。安心するがいい。屋上露天風呂が暗くされているのには素晴らしい理由があるのだよ。それはだね･･･。さあ、姫。上を見上げてみるがいい！」

「う、上･･･？･･･っ。わ･･･ぁっ！」



そこには夜空に輝く宇宙があった。

自然の中にある旅館のためか、星空と呼ぶよりも宇宙と表現するのが相応しいくらいの満天の星。
屋上ということも相まって、視界に何も邪魔なものが入ってこない。



「屋上露天風呂は、別名星見風呂ともいうのだよ。ライトアップが最低限にしてあるのもこの為なのだ！」

「･･･これは凄いな。確かに光があると星が見えなくなるな」



金城先輩がぽつりと呟いて夜空を見上げる。

思いがけず素敵な想い出が出来てしまった･･･。

視線を下げると、みんなが空を見上げて微笑みを浮かべていて、私ももう一度夜空を見上げながらお礼を言う。



「ありがとう、ございます･･･。私のわがままを聞いてくださって、箱学のみなさんまで一緒に温泉に入ってくださって、たくさん心配も、ご迷惑もかけているというのに･･･皆さん、とても優しくしてくださって、ありがとうございます･･･。私は幸せさんですね」



視線を下ろすと、もうみんな空を見上げてはいなくて、優しい顔で私を見ていた。

それがとても気恥ずかしくて、照れ笑いなんかして見せたりして、その照れ笑いにみんながまた口元を綻ばせる･･･。


ああ、なんて愛おしい時間だろうと思う。



「姫がそういう感じだから、優しくなれるんだよ」

「小野田くん？」

「姫が僕達の姫だから、きっと皆、愛しいんじゃないかな」



そう言って、小野田くんはへへっと笑った。

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