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巻島side
姫とのメッセージを終えて、風呂に入って髪を拭きながらスポーツドリンクを飲んでいると、マナーモードにしていた携帯が震えた。
もう夜9時も回ったこんな時間にかけてくるのは海外に住む兄しかいないだろうと呆れながら電話を取った。
「もしもし。いつも日本との時差を考えてくれと言ってるっショ。・・・・?もしもし?もしもしー?」
『せ・・・ぱぃ・・・ひっく』
電話越しにか細い泣き声が聞えて、それが姫だと分かった途端にざっと血の気が引いた気がした。
「・・・・姫?姫なのか?何かあったっショ・・・?」
『ベ・・、ベランダ・・・に、お、男のひと・・・い、いて・・・ひっく・・・っ』
「っ!?ちょっと電話切らずに隠れてるっショっ!?いいか!?すぐ行くから電話は繋いでろ!」
くそっ。ここから姫のマンションまで普通にロードで10分はかかる。
飛ばせば5分で行ける・・・か・・・?
一分一秒が惜しいこの瞬間に・・・考えるなっ・・・とにかく飛ばすっショ。
イヤホンに差し込んだ耳に姫のすすり泣く声が届いて、大丈夫だ、もう少しだと声をかけた。
いや、俺自身に言い聞かせていたのかもしれない。
数時間前まで、姫は俺の隣りで笑っていたんだ。
数十分前まで、明日楽しみにしているとメッセージでやり取りしていたんだ。
それがたった少しの時間でどうしてこんなことになっているっ?
「あいつっショっ!」
姫のマンションが見えるところまで来て走りながら2階のベランダを見上げると、確かに誰かがいて、それが男だと分かる。
普段使わない携帯を取り出して警察に連絡入れてから姫にオートロックを解除するように頼んでエレベーターを使わず階段でマンションの部屋へ駆け上がった。
まだ濡れた髪が頬に張り付いて不快だが、今はそんなこと考えている余裕があるのかと思う俺さえ腹立たしい。
ベランダにいる男に悟られないようにインターホンを鳴らさずに小さくノックをすると、すぐに扉が開く。
「っっ!」
それと同時に俺の腹に小さな温もりが飛び込んできた。
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瑠璃色の夢(プロフ) - ダリアさん» いつも嬉しいコメントをありがとうございます^^素敵なお言葉をたくさん頂けてモチベーションを保てています。本当に感謝感激です。今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年8月18日 1時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
ダリア - これを見ると疲れが癒されます。姫ちゃん可愛すぎです! (2019年8月18日 1時) (レス) id: 7c4b8b3529 (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - 美月さん» 嬉しい感想ありがとうございます♪応援と温かいお言葉、とても励みになります^^今後も頑張っていきますのでよろしくお願いいたします(*^^*) (2019年5月3日 10時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
美月(プロフ) - はじめまして!第1期から見させてもらいました!もの凄く面白いです!過保護な自転車部員は見てて凄く楽しいです!この作品大大好きです!応援してます!! (2019年5月3日 9時) (レス) id: 001893ea4c (このIDを非表示/違反報告)
瑠璃色の夢(プロフ) - かあさん» 嬉しいコメントありがとうございます^^確かにベタですよね。ですがなかなか私好みの方向に行ってくれない終わり方の小説が多くて執筆し始めてしまいました(汗)自己満足な小説になってしまっていますが今後とも頑張りますのでお付き合いくださると嬉しいです^^ (2019年4月21日 7時) (レス) id: 86b4dd6b0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃色の夢 | 作成日時:2019年1月25日 0時