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「お邪魔します」
京本くんはいつものようにそう言って、私の家に入った。
二人でソファーに座りまったりと映画を見て、エンドロールが流れたとき。京本くんが、「Aちゃん、」と名前を呼んだ。
「ん？」
と横を向くと、京本くんが微笑んでこちらを見つめている。
どうしたの、と聞こうと口を開こうとすると、京本くんが目を閉じてゆっくりと近づいてくる。びっくりして逃げようとしても、いつの間にか京本くんが私の後頭部を支えていて動けない。
・・・キスしちゃう、と思って私も目を閉じた。
「んなわけねえだろ」
そんな言葉が聞こえた同時に、手が添えられている感覚が消えた。
・・・・・・え、
「俺がお前にキスするとでも思った？」
そこには、目に光がなく真顔で、いつの日かのような冷えた声で言葉を投げかける京本くんが立っていた。
「・・・・・・・・・きょうもと、くん？」
「ふはっ、間抜け面笑」
「なに、俺がほんとにお前のこと好きで付き合ってるとでも思ってたの？」
目の前の光景が信じられない、と思った。何か、悪い夢なんじゃないかって。
「・・・・・・」
「俺がお前を好きになるわけねえじゃん笑 馬鹿なの？笑」
呆然としている私にそう言って、京本くんは笑った。全く目が笑っていない笑顔で。
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『なんか綺麗すぎて裏がありそうっていうか、目は笑っていないというか・・・違和感あるんだよね。』
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北斗の言葉を思い出して、ああ、こういうことか、と思った。今更後悔したって、もう遅い。
「長かったなあ・・・」
「これで完全に、俺のおもちゃだ」
そう言って、京本くんは微笑んだ。
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作者名：あいす | 作成日時：2022年8月10日 2時
