偽物の絆 ページ6
「何見てるの?見世物じゃないんだけど」
そう言った白髪の少年の前にいたのは、先ほど川で見かけた少女だった。
顔を覆っていた手を外すと、そこには痛々しい傷跡と涙の跡が見えた。
「何してるんだ、仲間じゃないのか…!!」
惨烈な状況を見て、炭治郎が怒りで声を震わせながら少年に問う。
「仲間?そんな薄っぺらなものと同じにするな。」蜘蛛糸を手に持つ少年は冷淡な口調で応答する。
「僕たちは家族だ。強い絆で結ばれているんだ。それにこれは僕と姉さんの問題だよ。
余計な口出しするなら刻むから。」
「家族も仲間も、強い絆で結ばれていればどちらも同じように尊い。血のつながりがなければ薄っぺらだなんてそんなことはない!!」
炭治郎は憤りながら少年の言葉を否定する。
「強い絆で結ばれているものは信頼の匂いがする。だけどお前たちからは、恐怖と、憎しみと、嫌悪の匂いしかしない。
こんなものを絆とは言わない、まがい物…偽物だ!!」
ざわ、と空気が揺れる音がした。
「おっ、ちょうどいいくらいの鬼がいるじゃねぇか」
そう言って少年に斬りかかる隊士がいた。
「だめだ、よせ!!」
炭治郎が忠告するが、隊士は少年に向かって疾走する。
ぶつん、という音がして、隊士の体がバラバラになる。
「なんていったの?」
先ほどとは比べ物にならない威圧感を放ちながら、少年が口を開く。
「お前今、なんて言ったの?」
ビリビリと空気が震える。威圧感で体が重くなった。
鬼の放つ殺気と真正面に向き合いながら、炭治郎は刀を握り直す。
手には汗が滲んでいた。
伊之助ごめん。
この鬼を倒したらすぐ行くから。
「何度でも言ってやる、お前の絆は偽物だ!!」
蜘蛛の糸の匂いを辿り、刃を振るう。
「水の呼吸 壱ノ型 水面切り」
蜘蛛の糸に正確に剣を振り下ろす。
その瞬間
バキン、という鉄の音が炭治郎の耳に届いた。
刀が、折れていた。
蜘蛛の糸が炭治郎の目の前に迫る。その瞬間、炭治郎を守るように前に出る人影があった。
禰豆子だ。
禰豆子は蜘蛛の糸の攻撃を受け、全身から血を流している。
その様子を、驚くように見つめる少年。
震える声で、「兄弟か?」と問う。
だったらなんだ、と禰豆子の傷を診ながら言う炭治郎の耳に、
「本物の絆だ!!欲しい!!」
興奮した様子の少年の声が聞こえた。
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます!応援してます! (2019年10月13日 9時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね!! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました!言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました!言葉おかしかったらすみません…!続き、楽しみにしています!(*´`*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月12日 10時