【鬼滅の刃】氷の刃【弐】

作戦失敗 ページ45

一方、屋根の上。


炭治郎達は堕姫との戦いで苦戦を強いられていた。

炭治郎が先程の戦いを思い出す。この鬼は、頸が帯になるんだ。

「この鬼の頸は柔らかすぎて斬れない！相当な速度化、もしくは複数の方向から斬らなくちゃ駄目だ！」

その言葉を聞いて声を上げたのは伊之助だった。

「複数の方向なら二刀流の俺様に任せておけコラァ！」と威勢のいい声を放つ。

その言葉に炭治郎も同意し、伊之助を善逸と炭治郎で守る形となる。

伊之助に迫る帯を、炭治郎と善逸の刃が斬り落とす。

「水の呼吸 参ノ型 流流舞い」

「雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃・八連」

伊之助が走る。

防御を捨てた無防備な疾走。

それでも、伊之助に帯は届かない。炭治郎と善逸は全ての帯を斬り落としていた。


伊之助の刃が、のこぎりのように鬼の頸を抉り斬った。

「獣の呼吸 陸ノ牙 乱杭咬み」

ギャリ、と武骨な音を立てて、堕姫の頸が斬り落とされる。


伊之助はすぐに堕姫の頸を持って走り出した。

「頸！くっつけらんねえように遠くに持って走るぞ！！」

そう言いながら遠ざかっていく伊之助。


堕姫が「助けてお兄ちゃあああん！！」と叫んだ瞬間。


伊之助の後ろから妓夫太郎が現れ、伊之助へと刃を突き立てた。


その後に続いてきたのは紫陽花の羽織。

血の匂いがした。


Aは伊之助と妓夫太郎の間に入り、妓夫太郎の腹を蹴り飛ばす。

伊之助に刺さった刃はAの蹴りで抜き取られるが、堕姫の頸は妓夫太郎に取られてしまう。

いつものAよりも、格段に動きが遅くなっている。


「なんでお前動けるんだぁ？血鎌を三発も受けてるのに頑張るよなぁ」

がくん、とAの上体の力が抜ける。

Aの喉はヒュウヒュウと苦しそうな音を立てている。
それでもAの足は地に着いたまま、伊之助を守るように立ち塞がっていた。

「伊之助、A−−−−！！」

二人の姿に、炭治郎が絶叫する。


暗くてよく見えないが、Aと伊之助の血の匂いがする。

伊之助の傷が深いのが、暗い中でもわかる。


なんであいつがこっちにいるんだ、と思うと同時に炭治郎は最も頼りになる人がいないことに気付く。


宇髄さんの姿を探して、先程まで戦闘していた場所を見る。


そこには、宇髄さんが左手を切断された状態で横たわっていた。


その姿に目を奪われていると、「炭治郎危ない！」と言う声が聞こえた。

帯で、建物が崩れる。

炭治郎の意識は、そこで途切れた。

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