優先順位 ページ44
最初に考えたのは、どうして頸が斬れなかったのかということ。
方向性としては悪くない。突きと言う判断もあの状況では正しかったはずだ。
「氷の呼吸 参ノ型 流氷演舞」
跳躍して、先程刃で貫いた部分に刃先を軽く打ち込む。
キン、という甲高い音がした。
弱点の音は、もっと響く。ここは弱点じゃないのか。
骨格が普通の人間と違うんだ。
妓夫太郎の頸の脆い部分を探すため、連続で刃を打ち込む。六回当たった。
妓夫太郎は戸惑っていた。
速さが、先程とは比にならないほど上がっている。
さっき頸斬れなかったろうが。恐怖心はないのか。
あと、目の前で人が腕斬られて倒れてたら動揺するだろ、普通。
なんでこいつ、反射速度が上がってるんだ?
嫌な汗が浮かぶ。
こいつは今までよりも危険だ、と体が感じ取っていた。
二度目の連撃は七回当たった。
もっと速く。
相手の音をよく聞いて、攻撃を読む。
一度でも多く刀を振る。
ふと、金属音でも鬼でもない、聞き慣れた人の声が聞こえた。
小さい、私にしか聞こえないようなその声は、
「譜面を作る。できるだけ技を出させろ。」と私に命じた。
カチリ、と自分の中で優先順位が入れ替わる。
「氷の呼吸 肆ノ型
ふわりとAの体が妓夫太郎の真上へと舞い上がった。
妓夫太郎が鎌を振る。
(…手応えがない。動きに緩急をつけているのか)
回避に特化した肆ノ型を、妓夫太郎は即座に見抜き、すぐさま広範囲の血の鎌を放ってきた。
「水の呼吸 肆ノ型 打ち潮」
刀を纏っていた氷が、突然流れるような水へと姿を変えて血鎌を打ち消す。
もう一度間合いを詰め、刀を振るう。
「かかったな」
風がうねるような音が前方から聞こえた。右からは堕姫の帯が迫っている。
(血鎌が来る。数が多い。避けきれない。)
「氷の呼吸 参ノ型 流氷演舞」
一番に守るのは宇髄さんの方向。
二番目に炭治郎達のいる屋根の方向。
三番目に避けきれない分を出来るだけ多く捌く。
想定していた通りに、体は動き出した。
残りの三人を守るため、刃を振るう。
薄水色の刀はパキン、パキン、と氷の音を立てて血鎌と帯を切り裂いていく。
「お兄ちゃああん」と呼ぶ声が聞こえた。堕姫の声だ。
妓夫太郎は舌打ちしながら堕姫の元へと向かう。
Aは血鎌の攻撃で毒を喰らっていた。
いつまで動けるかわからない。
頭は冷静なまま、毒に侵された体でAは妓夫太郎の後を追いかけた。
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます!応援してます! (2019年10月13日 9時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね!! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました!言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました!言葉おかしかったらすみません…!続き、楽しみにしています!(*´`*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月12日 10時