弱さを強さに ページ43
「お前は忍みたいだよな。」
昔、私に向けてそう言ったのは宇髄さんだった。
静かな宇髄さんの体から、少しだけ嫌悪の音がしたからよく覚えている。
私も、私のことを冷酷な人間だと思う。
妹と弟を斬った時、あぁ、私は例え妹だろうと斬れてしまうのかと絶望した。
おじいちゃんが死んでも泣かなかった。
屋敷で血まみれの姿を見た時から、死ぬとわかっていたからだ。
追い詰められれば追い詰められるほど、私の冷たい部分が出てくる。
そんな時、私の体からは氷の音がする。
氷の呼吸と聞いた時、私にぴったりだと思った。
私は冷たい人間だ。
でも同じくらい、誰かが傷つくのは嫌だった。
鬼でもそうだ。
痛い、痛いとキリキリした音を出す鬼を見るたび、妹と弟を斬った感触が蘇った。
これはきっと妹を斬った罰なのだと思った。
氷の呼吸で斬った鬼からは痛みの音がしなくなって、妹と弟の声も止んだ。
本当なら背負わなければならない罪を放棄しているように感じた。
罪悪感が消えない。
優しい、と言われる度心が軋んだ。
違う。
私はそんな人間じゃない。
そう思っていた時、宇髄さんから「忍みたいだ」と言われたものだから、気がつけば｢私もそう思います｣と不躾に口にしていた。
「忍に何が求められるか知っているか」
宇髄さんは私にそんな問いを投げかけた。
「高い判断力と、洞察力。そしていざと言う時味方を見捨てられるかどうかだ。」
淡々とした声で、宇髄さんは話し始めた。
「窮地に陥ると大抵人は混乱する。けど、お前は窮地になるほど、正確な判断を下せるようになる人間なんだよ。生まれつき、そういう奴はいるんだ。
相手のことをどれだけ思っていようと、駄目な時は駄目。死ぬときは死ぬ。それを即座に判断出来ちまう奴がな。」
お前はそんな自分が嫌いだから無意識に抑え込んでるんだろうけど、と言葉を続ける。
「そういう人間は強い。お前のそれは才能だと俺は思ってる。本物の忍はな、見捨てるのに何の躊躇しない機械みたいな奴だ。けど、お前は大丈夫だろう。ちゃんと、失う辛さを知ってる。」
だから大丈夫だ、と宇髄さんは笑った。
宇髄さん。もしそれが才能だというのなら。
そんなもの欲しくなかったんです。
私は、優しい人になりたかった。
でも、もし私の冷たさが強さに変わるとしたら、この才能を活かしたい。
仲間を守りたいって、今は思うんです。
何か言ってくださいよ、そんなところで寝っ転がってないでさ。
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます！応援してます！ (2019年10月13日 9時) (
レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね！！ (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました！言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました！言葉おかしかったらすみません…！続き、楽しみにしています！(*´｀*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kanna | 作成日時：2019年10月12日 10時
