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誤算 ページ42

刃が妓夫太郎の喉を貫いた。

体を回転させて、頸を斬ろうとした時。

ガキン、という鈍い音がした。


頭が真っ白になる。

喉元を正確に突いていたはずだ。

なのに、どうして、刃が動かないんだ?


このまま刃を横に通すと刀が折れると、音で分かる。


「さっきからお前、邪魔なんだよなぁ。さっさと死ねよなぁ。」

惜しかったなぁ、と笑う妓夫太郎の鎌が空を切ってこちらへと迫ってくる。



どうする。どうする。

妓夫太郎の腹を蹴って刀を抜く?いや、駄目だ、足を斬られる。

地面を蹴ったら垂直に刀を抜けないから、刀が折れる。

このまま止まっていたら、斬られるのは恐らく右腕。

せめて、利き手じゃない左手に持ち替えないと。

左腕は諦めて斬られるしかない。攻撃の後に隙が出来るからその時に刀を抜いて――――――


ぐい、と襟元を掴まれて後ろに思い切り引っ張られる。

ひゅん、と風を切る音がして、一瞬、宇髄さんの背中が見えた。


ドォン、という爆発音。宇髄さんの刀の音だ。

受け身を取り損ねて、けほ、と口から乾いた息が漏れる。

爆発による黒煙で戦闘の様子が分からない。


キン、キン、と刀がぶつかる音がする。

視界が悪い。多分、今行ったら足手まといになる。


先程の動きを思い返す。

弱点部分を正確に突いたのに、刃が通らなかった。

踏み込みが甘かった?違う。喉の後ろまで刃は通っていた。

弱点にあたっていなかったのか?でも、今までの鬼と同じ場所を狙った。狙いは正確だった。

なのに、斬れなかった。


私は混乱する頭で、この後どう立ち回るかを考えていた。

頸を斬るのは力のある宇髄さんに任せて、援護に回ろう。

煙が晴れたら宇髄さんの所に向かって、少しでも妓夫太郎に隙を作る。

宇髄さんならきっと斬れる。大丈夫だ。


そう自分を落ち着かせる。


ザン、と、何かが斬られる音がした。

え、という声が自分の口から漏れた。

その音は、鬼を斬ったときの音とは違っていたからだ。

今のは、人の肉が斬られた時の音だ。

全身から血の気が引く。



黒煙が晴れた向こう側には、左腕を切断され、地面に横たわる宇髄さんの姿が見えた。

心音が聞こえない。



「おねえちゃん、たすけて。」

妹の声が聞こえる。

あぁ、また間違った。

あの時と同じ、急速に頭が冷えていく感じがした。



目の前の霧が一気に晴れたように、目的が一つになる。

アイツの頸を斬る。

凍ったように静かになった頭は、ただそれだけを考えていた。

弱さを強さに→←五つの型



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設定タグ:鬼滅の刃 , 冨岡義勇   
作品ジャンル:アニメ
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弥月(プロフ) - kannaさん» こちらこそありがとうございます!応援してます! (2019年10月13日 9時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - 弥月さん» コメントありがとうございます。初めての投稿になるため不安でしたが、そう言っていただけるととても嬉しいです。読んでいただいて、本当にありがとうございます。続き、頑張って書きますね!! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 73f13c0ff4 (このIDを非表示/違反報告)
弥月(プロフ) - コメント失礼します。最初から一気に読ませていただきました!言葉では表せない程夢主ちゃんの心の強さや優しさが本当に素敵だなと思いました!言葉おかしかったらすみません…!続き、楽しみにしています!(*´`*) (2019年10月13日 4時) (レス) id: 6d130177f0 (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - アーロさん» 申し訳ありませんでした。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)
kanna(プロフ) - かなとさん» 申し訳ございません。こちらの確認不足です。オリジナルタグ外しましたのでご確認ください。 (2019年10月12日 11時) (レス) id: b959b235dc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月12日 10時

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