煉獄さんとお食事 ページ6
どうしてこうなったんだろう。
Aの頭は困惑でいっぱいだった。
隣では、炎柱――――煉獄さんが「うまい!うまい!」と声を上げながら屋台のおでんを食べている。
時は半刻ほど前に遡る。
「A!一緒にご飯を食べよう!!」
そういった煉獄さんは、困惑する私をひょい、と俵担ぎしたかと思うと屋台に座らせたのだ。
「Aは大根が好きだったな!」と煉獄さんが笑う。
目の前の大根と煉獄さんの笑顔に流されそうになるが、明らかに流れがおかしい。
美味しそうに食べている煉獄さんに、箸を置いて尋ねる。
ずっと気になっていたことだ。
「煉獄さんがお食事に誘ってくださったのは、他の柱の方が食事に誘ってくれるのとなにか関係があるんですよね…?」
そう尋ねると、煉獄さんは無言でこちらを見つめた。
そう、最近は柱の方との接触が多すぎる。
まず、あの口下手な冨岡さんが食事に誘うのがおかしかった。
しのぶさんはいいとして、蜜璃さんの接触も突然だったし、宇髄さんも食事に誘う必要はなかったはずだ。
伊黒さんはまぁ、偶然かもしれないけれど。
そう思っていると、煉獄さんはいつものお日様みたいな笑顔になって、元気な声で話し始めた。
「うむ!隠そうと思っていたがさすがに無理があったな!!すまないA!!実はこれは、お館様からの司令なのだ!!」
煉獄さんの言葉にぽかん、と目を丸くする。
「お館様は、身内をなくしたAの事を大層気にしておられてな!柱の皆に、Aと仲良くやって欲しいというお達せがあったのだ!!」
「そうだったんですか…」
まさかお館様からの司令だとは思わなかった…
本当に優しい人なんだなぁ。
「それでも、司令とはいえ、Aは冨岡の継子!!俺たち柱の家族のようなものだ!大切にするのは当然!いつかこうして食事をしたいと思っていたのだ!!」
いささか強引だったがな!すまん!と豪快に笑う煉獄さん。
「ありがとうございます」
私の口は自然と動いていた。
「大根が好きって、どなたからお聞きになったんですか?」
そう尋ねると、冨岡だ!!と元気な声が返ってきた。
「冨岡は最近よく喋るようになってな!!最初の頃は全く話すことがなかったんだが、Aの修行の話になるとよく喋る!!きっと、自慢の継子なのだろう。これからも修行に励み、たくさんの人を守るんだぞ!」
そう言って私の頭をくしゃっと撫でてくれた。
温かい、太陽のような手だった。
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月9日 12時