しのぶさんとお食事 ページ2
「あらAさん、こんにちは」
ふわり、と優しく微笑んだのは蟲柱の胡蝶しのぶさんだ。
挨拶を返すと今日は怪我はないようですね、何よりです。と言ってくれる。
しのぶさんは蝶屋敷と呼ばれる医療施設を管理する医療に長けた柱の方で、鬼を殺せる毒を作った凄い人だ。
そんなしのぶさんは何かと私のことを気にかけてくれる。
一度だけ理由を聞いたことがある。
しのぶさんはいつもの笑顔を少しだけ悲しそうな顔に変えて一言、あなたは私の姉によく似ていると言った。
それ以降、しのぶさんのお姉さんのことについては話してくれなかった。
「今から甘味処に行こうと思っていたんです。一緒にどうですか?」
しのぶさんからのお誘いに頷くと、しのぶさんはよかったと嬉しそうに微笑んだ。
「…ものすごくおいしいです。初めて食べました。」
「あら、そうだったんですね。お気に召したようで何よりです。」
丸い餅のようなものが串に刺さっているものを食べさせられると、甘い味が口に広がった。
「団子というんですよ。餡がかかったものやしょうゆだれに浸したものなどいろんな種類があるんです」
しのぶさんが教えてくれた言葉をだんご…と丸い餅を見つめながら呟く。
「気に入ってくださったみたいで何よりです」
しのぶさんの言葉に「凄くおいしいです!」ともう一度しのぶさんの顔を見て伝える。
しのぶさんはいろんな種類のお団子を食べさせてくれたけど、最初に食べた色が三つついた団子が一番好きだった。
ほわほわと団子を頬張る私を見つめて、しのぶさんはにこにこしながら、「また一緒に来ましょうね」と優しい声で次の約束をしてくれた。
「いや私が出します!!明らかに私の方が食べてましたよ!!」
「あら、そうでしたっけ?すみません、これでお願いします。」
「しのぶさん、本当にせめて半分だけでも、」
「はい?」
「……ご馳走さまでした………」
押し負けて頭を下げる私に、しのぶさんはどういたしまして。と楽しそうに微笑んだ。
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作者名:kanna | 作成日時:2019年10月9日 12時