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廿肆 ページ26

*







「はァ、全然見つかりませんわね…」

溜息を一つ零して、額に浮かぶ汗を手の甲で拭う。

辺りは真っ暗で二人は、月の光だけを頼りに歩を進めていた。


然し、幾ら探しても御目当ての彼女は見つからなかった。


「うーん、慥かに中々見つからないねぇ。何か心当たりが有ったりしないかい?」


「心当たり───…」

人を探すのには見当をつけるのが常だが、随分と焦っていた彼等はそんな簡単な事に今の今迄気付けなかった。


心当たり、に頭を悩ませるナオミは何かを思い出す為なのか、時折何の脈絡も無い単語を発したり、視線を宙に彷徨わせた。


ふと、何かを思い出したかのに、はたまた閃いたかの様にあ、と短い言葉を発する。


「そうですわ!彼の子は家を飛び出した時、何時も行く処があるんですの」


「其の度に私が何時も迎えに行っていましたが…」


目尻を少し下げて哀しげな表情を作る。

何かを思い出しているのか何処か心此処に在らずと云った表情を。


「本当かい?兎に角行ってみようか」


太宰の言葉にどちらかともなく顔を見合わせ、ナオミは肯定の意を示す為に小さく頷いた。


暗い、昏い場所に今直ぐにでも消えて仕舞いそうな一筋の光が差した。


二人は又、其の希望を目指して走り始めた。



此の後に残酷な未来が待ち受けているのかも知らずに___







*





『いーち、にーいー、さーん』


静かで周りには何も無い、正しくは住宅街は有るが、まァ、兎に角静寂が支配している。


一つ、又一つと部屋の電気が消えていく。


其の中で私は一人寂しく公園で絶大な人気を誇る鞦韆(ブランコ)を漕いでいた。


小さな声で往復した回数を数える。

十迄数えて又、一から数え直す。



『なーな、はァーち、きゅーう』



『「じゅーう」』


大好きな声、だった。

其れは私の耳に滑らかに入り、私の背に暖かな熱を加える。

自ら足を動かさずとも、リズムを刻む様に心地良く動く。


此の儘振り返って仕舞ったら瞳に溜まった涙が零れて仕舞いそうで反射的に下を向く。






「懐かしいですわね。彼の時の私は未だ、十以上数える事が出来なくて又一から数え直していましたわ」


「Aが落ち込んだら何時も此処に来ていたのを善く覚えてますわ」


姉様の云う通り、私は如何しても哀しい時には何時も此処に来て、鞦韆を漕いでいた。


そして其の度に姉様は優しく私の背を押して呉れた。


そうだ。丁度十を三回位数えた辺りで私は振り返って姉様と笑い合うンだ。









*

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黒蜜おもち - 終わり!?おっおわ……続き、ください。。。 (3月28日 12時) (レス) @page38 id: b91ecec67d (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 続きをお恵みください… (12月30日 21時) (レス) @page38 id: 5d2aa23f76 (このIDを非表示/違反報告)
山羊のサーカス(プロフ) - 終わり...だと...!?再度更新を願っております...! (11月25日 18時) (レス) @page38 id: 78c8c266f2 (このIDを非表示/違反報告)
かぐや - 終わっちゃった…更新して欲しいです!!お願いします… (9月8日 21時) (レス) @page38 id: 65c95105c4 (このIDを非表示/違反報告)
rai - お、終わり⁉︎是非更新をしてくれることを願って (8月19日 22時) (レス) @page38 id: 67327e3dd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふにゃた | 作成日時:2018年2月18日 19時

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