壱 ページ3
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部屋にふわりと芳醇な香りが立ち昇る。
朝御飯と成る御味噌汁の味見をし乍ら部屋の中にポツンと置かれて居る
無機質な部屋の中に居る其の姿は何処か寂しげだ。
何度も何度も棄てようとしたけれど彼のつぶらな瞳に見つめられると如何しても其れは叶わない。
否、只理由を付けて過去に縋り付く自分を納得させようとしているだけなのだけど。
そんな厭な思いを仏拭するかの様に首を横に振り、出来たての御味噌汁を食卓に置く。
『いただきます。』
私が住んでいるのは武装探偵社の寮の或る1室。
此処に私は1人で暮らしている。
未だ私は未成年だと云う事も有り、皆様からは参人で住む様にと云われたけれど私は頑なに其れを拒否した。
私を心配して呉れている皆様に罪悪感が湧いていたが如何しても断らなければならなかった。
__だって、兄様は其れを望んで居なかったのだもの。
直ぐに分かって仕舞う。厭でもね。
だって、今迄ずっと傍に居たのだから。
兄 様 は 私 を 避 け て い る
何れ丈目を逸らそうとも之は変わる事の無い事実。
昔は右手で姉様を、左手で私を撫でて居たのに。
今では左手は空を掴んで居るだけ。
名前を呼ぶ時は姉様の方が先に呼ばれていてずっと羨ましかった。
勿論今は呼ばれる事なんて無い。
「兄様」と呼ぶと振り向いて最高の笑顔を向けられて居るのは姉様だけ。
昔は平等に与えられて居た愛は今は姉様にしか注がれない。
嫌い
そんな愛を一心に受ける姉様は私の前で平然と兄様の傍に行く。
私の気持ちを知っているのか否か。
そんな事は如何でも善いけれど。
裏表が無い様に見える姉様の事だから有り得ないだろうけど。
私の目には優越感を抱いて居るのを見せつけられて居る様にしか思う事が出来ない。
嫌い。大嫌い。
兄様に避けられで居るからと云って避けて。
そんな中、普通に、否過剰とも云える位構ってくる姉様を兄様に褒めて貰う為何じゃないかと思って仕舞う。
そんな最低な私が1番大っ嫌いだ。
何処で間違えたのだろう。
少なくとも彼の日までは、そう_幸せだった筈何だ。
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黒蜜おもち - 終わり!?おっおわ……続き、ください。。。 (3月28日 12時) (レス) @page38 id: b91ecec67d (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 続きをお恵みください… (12月30日 21時) (レス) @page38 id: 5d2aa23f76 (このIDを非表示/違反報告)
山羊のサーカス(プロフ) - 終わり...だと...!?再度更新を願っております...! (11月25日 18時) (レス) @page38 id: 78c8c266f2 (このIDを非表示/違反報告)
かぐや - 終わっちゃった…更新して欲しいです!!お願いします… (9月8日 21時) (レス) @page38 id: 65c95105c4 (このIDを非表示/違反報告)
rai - お、終わり⁉︎是非更新をしてくれることを願って (8月19日 22時) (レス) @page38 id: 67327e3dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ふにゃた | 作成日時:2018年2月18日 19時