拾参 ページ15
*
「えぇー。でも国木田君だってAに名前で呼んで欲しいだろう？」
「何を話しているかと思ったらそんな噺か」
「おや、面白そうな噺してンじゃないか」
同意を求める様に国木田様に声を掛ける太宰様に会話に参加する与謝野
然し私の知る限りだと、太宰様も国木田様も与謝野医師も皆様から苗字で呼ばれていた様な気がする。
若しかして自分がいない時だけ皆様は名前で呼び合っているのだろうか？
其れは一寸、否随分と悲しい。
「御待ち下さい！」
『ぐふッ…』
何だか既視感を感じる。
其れはそうだ。今朝も同じ体験をした。
否、逢う度に同じ事をしている。
姉様が凄い勢いで突っ込んで来たのだ。
「私無しではAの事は語れませんわ」
「だって私はAの“お姉ちゃん”ですもの」
云って仕舞いましたわ、と頬を染め乍ら云う姉様は身内贔屓無しでも凄く可愛らしかった。
云われた台詞は鉛の様に心に重くのしかかった。
目を伏せて必死に込み上げて来るものを我慢している時。
私の頭上では何とも緊張感の無い会話が繰り広げられていた。
彼の仕事の鬼、否こう云って仕舞うと失礼だろうか。
兎に角国木田様までもが参加している。
中々に議論に熱が入ってき始めた時。
或る一つの解決策が思い付いた。
的外れかもしれない。何を云っているんだ、と白い目で見られるかもしれない。
否、屹度そうだろう。
其れでも何時も仲が良い皆様が喧嘩をしているのが如何しても厭だった。
私が、止めなくては。
『あ、あの…！』
一斉に皆様の視線が自分に集まり思わずたじろぐ。
人の前で話すのが苦手な私にとってはかなりの地獄だった。
頑張れ、頑張れと自分に暗示をかける様に手を少しだけ強く握る。
『な、名前で呼び合うなら私も入れて下さい！』
云い切った。
恥ずかしさ依りも満足感、達成感が勝った。
図々しかったかもしれない。お前がか、と。
其れでも仲間外れは悲しいから。
下げていた目線をゆっくりと上に向ける。
飛び込んで来たのは皆様の呆けた様な、驚いた様な表情だった。
『ご、御免なさい。私なんかが、図々しいですよね…』
誰も何も云って呉れ無い為、怒らせて仕舞ったのでは無いかと不安に成り、謝罪の言葉を口にする。
「否、少し吃驚しただけだよ。如何したんだい？急に」
怒っていないみたいで心の底から安心する。
然し、私を見る太宰様の瞳は凡てを見透かしている様だった。
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黒蜜おもち - 終わり！？おっおわ……続き、ください。。。 (3月28日 12時) (
レス) @page38 id: b91ecec67d (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 続きをお恵みください… (12月30日 21時) (レス) @page38 id: 5d2aa23f76 (このIDを非表示/違反報告)
山羊のサーカス(プロフ) - 終わり...だと...!?再度更新を願っております...! (11月25日 18時) (レス) @page38 id: 78c8c266f2 (このIDを非表示/違反報告)
かぐや - 終わっちゃった…更新して欲しいです！！お願いします… (9月8日 21時) (レス) @page38 id: 65c95105c4 (このIDを非表示/違反報告)
rai - お、終わり⁉︎是非更新をしてくれることを願って (8月19日 22時) (レス) @page38 id: 67327e3dd8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふにゃた | 作成日時：2018年2月18日 19時
