情報屋。-拾-【銀魂】

432 ・ ページ13

【Aside】







笠を被り、紫髪を風に揺らすのは







『よ、高杉くん』





高杉｢どうせ此奴の事だ

ハナから俺が此処に来る事も知ってるさ｣





佐々｢……そうですか｣





『あれ、無視か？』






ぱっと手を上げ声を掛ければ、


ちらりと横目で此方を見た後

佐々木くんの方へ歩いていく高杉くん



久しぶりに会ったってのに冷たいな







高杉｢で、三天の怪物殿

何か釣れたか｣





佐々「ええ、安いエサの割には」





『……お、釣れた釣れた』







瓦礫の山から信女ちゃんが

ポテリング目掛けて飛び出してきた



そのままもぐもぐとドーナツに食らいついている


相変わらず不死身かつ元気やな








佐々｢……でも逃がしましたよ

なんだか食すのが勿体なくなってしまって｣





高杉｢いいのかい


あんな連中を泳がせていては

アンタらが推す幕閣の歴々に申し訳なかろう｣








『昨日言うてたドーナツ買ってきたで

食うか？』





今井｢食べる｣











佐々｢………、既に崩れかけた幕府(瓦礫)の上で

権力争いをするつもりはありません


名門佐々木家もいずれ崩れ去る運命です




ならば使える使えるうちにとエサにしたまで


あの安いエサでこれだけの釣りが楽しめれば充分ですよ｣








『あ、待て待て！！

それは自分用に買ってた奴や！食わんといて！！』





信女｢残念ね、早い者勝ちよ｣










佐々｢…………、おかげでこの瓦礫の海にもまだ

泥にまみれても足掻く泥魚達がいる事をしれましたから｣





高杉｢楽しみはとっておくと｣





佐々｢いずれまた会う事になりましょう



私達がこの瓦礫の海を更地に変える時

水を失った魚がどう足掻くか



……楽しみですね｣








『な゛ぁぁぁ……全部とられた……

折角2つ買ってた期間限定が……』





信女｢これ美味しい｣





『そら美味いやろうなぁ！？

朝イチで買ってきた出来たてほやほやドーナツやもん！』









佐々｢……あの情報屋は予想以上の動きでした


普段はああいった態度のようですが

……いや、昨日の騒動の中でも一人悠々としてましたか｣





高杉｢彼奴が動くだけで事が引っ掻き回される、

心底面白ェ奴だっただろう？｣





佐々｢予測通りに動かない方は厄介ですがね

良い方を見つけられましたよ｣

お知らせ→←431 ・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す