情報屋。-仇 [番外編]-【劇場版銀魂完結編】

391 白詛 ページ21

【銀時side】






桂｢白詛、……いいや

あの時はまだそんな名は付いていなかった｣







ゆっくりとヅラが口を開く


こちらを見ず、真っ直ぐ曇天の空を見上げたまま







桂｢銀時が何故、この星に白詛が蔓延する以前に

その存在を知りえていたか分かるか



………それは1奴が今より15年前、

既にそれに出会っていたからさ｣






銀時｢15年前？｣






桂｢あぁ、攘夷戦争時代だ


15年前、長期化する攘夷戦争を鎮火させようと

幕府方がある戦に用いた傭兵部隊があった｣







ヅラの言葉に、鮮明に15年前の記憶が蘇る


血塗られた過去、時代







桂｢戦に出るや、

その星が使い物にならなく程の甚大な被害を生む為、


何時ぞやからか禁忌の存在とされ

歴史の闇に埋もれた者達



星屑しの異名を持つ忌まわしき存在


その名は、｣








｢『厭魅』｣








銀時｢！！｣





桂｢！！｣








口から零れるその名



そして

俺の声に被せるように響いたもう一つの声







ガバッと声のする方を見遣れば、

端に座り込み空を見上げるAの姿







『………よ、2人共


雨宿り、させてくれ』







そう呟くAの髪からは

ぽたりぽたりと水滴が垂れていた









桂｢………A｣






『……ん？』






桂｢……いや、何でもない

気にするな｣








隣に居るヅラがその横顔に声を掛けたが

結局意味の無い会話になるだけだった





だが、ヅラが声を掛けなければ

俺が此奴の名を呼んでただろう






Aの頬を滑る水滴



ただの雨粒だと言うのに、

一瞬泣いているように見えちまったから







『……厭魅、……蠱毒』







ヅラの言葉に少しだけ頷くと、

またぽつりとそう零したA








土方｢………そいつなら俺も知ってるぜ


蠱毒と呼ばれる呪術を用い、

攘夷志士達に大層な損害をもたらした｣








Aが座り込んでいるすぐ横で、

土方が壁に寄りかかって煙草の煙を吐き出す








土方｢だが、種を明かせば奴らの呪術とは

ナノマシンと呼ばれる極小のカラクリ



そして奴らが用いたそのナノマシンが……


現代において猛威を振るう白詛のソレと酷似していた｣









厭魅、……蠱毒





現代で猛威を振るう、白詛










銀時｢いや、そんな筈はねェ


奴は、……奴らは確かにあの時に……！｣

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