孤独なライオン ページ1
いつも、余裕な顔に見えるけど。どんなことだってたいていサラッとこなしてしまうけど。それだけじゃない、って知ってるよ。
日付が変わる少し前、身体を引きずるような歩き方で紫耀はやってきた。理由は分かっている。カメラがないから、腰の悪さを取り繕う必要がないのだ。に、しても。
「そのまま帰れば良かったのに」
玄樹は言った。ゆっくり身体を休めて欲しいという思いからだ。けれど、紫耀は言う。
「疲れてるから、会いたかったんだよ」
ソファーに座った顔色は悪く、いかにも眠たげなくせに困ったことを口にする。自覚はないのだろう、とブランケットを手に近付いたら。
「……わっ」
腕を引かれ、すっぽり包まれてしまう。
「もぉ、寝るならちゃんと休んで?」
身体を起こそうにも、抱き込む力にかなうはずもなく。せめてもの抗議をしてみたけれど。
「一緒に寝てよ」
目を閉じてしまうほどの睡魔に抗ってまで、言うことじゃないのに、とその背を抱き返す。
目には見えない無数の傷を負った孤独な背中。
別の意味で矢面に立つ優太には見せない傷。
年下のメンバーには気取らせない、傷。それに触れることを許されているのは、何故だろう。
まだまだ未熟な成長途上の自分達にとって、【顔】である紫耀の成功や評価は、グループのそれに直結する。それが分かっているからこそ無理もするのだと、知っているけれど。
「ベッドまでなんて、運べないよ」
「ここでいいよ」
見上げた玄樹の瞳に唇を落として。
「……おやすみ」
そう言った時には、もう夢の住人になっていて。そのくせ、抱き込む力だけはそのままで。
「風邪とか、ひかないでよ？」
持ってきたブランケットを大きな肩にかけ、呟いた。いつか、紫耀が守りたかったものが形になって。決して口にしない、この傷が意味を成すように。ただ、その温もりで抱きしめた。
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さくら - はじめまして。読ませていただきました。ご本人様達とは関係はないですよね？ (6月13日 12時) (
レス) @page18 id: a57f5c49bf (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - アリスさん» こんばんは、コメントありがとうございます★ゲームもどき文化祭が一区切りついたら、おばちゃんネタは私も好きなのでそれも良いかな(笑)。移転目前ですが、２でもよろしくなのです(^-^)/ (2019年10月21日 1時) (レス) id: bd09ac7e96 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - どれも好きな作品ばかりですし、次のお話のネタ達も楽しみですが、またしても掃除婦が気になってます(笑)こればかり言ってますね(笑)よければまたお願いします( *´艸｀) (2019年10月20日 23時) (レス) id: bb1ea8dca7 (このIDを非表示/違反報告)
黒那智(プロフ) - もっちさん» コメントレスありがとうございます(^-^)/掃除のおばちゃんネタはノリで始めたのですが(笑)意外とご好評いただいてます。そろそろお話が満杯なので、移行先でもよろしくお願いします★ (2019年10月14日 12時) (レス) id: bd09ac7e96 (このIDを非表示/違反報告)
もっち(プロフ) - お返事をありがとうございます。脳内で実写化して楽しみます。実は掃除婦は見たがすごくツボで大好きなので、またお時間あれば続きをお願いします♪ (2019年10月14日 11時) (レス) id: 32e719aafe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒那智 | 作成日時：2019年2月3日 22時
