Ⅰ.秘密の７人目【東海オンエア】 (ページ27)

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Side--Tetsuya

「ざわくん！おはよう」

「おはよう、Aちゃん。」

ガストメン集合！なんて小さな口からこれまた小さな歯を覗かせて笑うA。

カメラが入っていないと２人の呼び方は変化する。働いていた時を思い出してそれを聞くのは嫌いじゃない。

「聞いて！てつやがさ？」

集合時間前に来て準備を急かされたと文句をまるでマシンガンのように口にする彼女。

女なんて嫌いだと自他ともに認めるざわくんは、然しAのこととなると、優しく笑って話を聞くのだから、なんだかおかしな話だ。

運転席の自分だけ置いてけぼりを食らったように感じていると、ぶふっ、と空気の漏れる音がして、ちらりとそちらに視線をやると、彼女が顔を突き出して笑ってる。

「何で拗ねんの。」

「別に拗ねとらん。」

「それが拗ねてるって言うんじゃんね。」

ね、ざわくん。と笑うAと、ニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべるざわくんから逃れるように正面を向いた。

「私ほんとに怒ってないげ。

寧ろ早く会えて嬉しかった。実家に迎えに来てくれてありがとね、てっちゃん。」

愚痴を話したことで機嫌を悪くしたと彼女は思ったんだろう。別にAが本当に怒っていないことくらい承知の上だ。

それでも、彼女が嬉しかったと言ってくれるなら、てっちゃん、と愛称で呼んでくれるなら、モヤっとした気分はどこかに飛んでいってしまいそうだった。