【w.r.w.r.d.!】Mi sta cercando (ページ31)

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二人で並んで歩く帰り道。

私の腕の中にはさっきひとらんが買ってくれたあのぬいぐるみ。

私はずっとそのぬいぐるみを見つめていた。

いやだって本当にひとらんっぽいからついつい見ちゃうんです！しかも本人が買ってくれたやつだからつい愛着が湧いて湧いて！それ位このぬいぐるみが気に入った。

「A」

「んー、何？」

ひとらんから名前を呼ばれる。しかし私はぬいぐるみから視線逸らすことなくぼんやりと返事した。いや見てこのキリッとした目！マジひとらんそっくりだから！

「A」

「んー、だからどうしたのー、ひとらん」

何故かまた名前を呼ばれる。どうしたのだろう？そんな私の名前を呼びたいか？取り敢えずまたぼんやりと返事を返してにぬいぐるみ向き合った。

「A」

「何？」

「A」

「だから何？」

「A！！」

「あーもうどうしたの、ひとらん！」

何回も名前を叫ばれる。いや私何か変なことしましたっけ！？なんでそんな怒ったような感じで叫ぶの！？私ぬいぐるみ見てるだけじゃん！！それなのにこんな怒るなんて…何で！？

取り敢えずぬいぐるみをずっと見続けていれば、近くから苛立ったような舌打ちが聞こえた。…っあれ、ひとらん、マジで怒ってない？さすがにヤバイかな、そう考えてひとらんの顔色を窺おうとした、その時。

腕に抱いていたぬいぐるみがひとらんに取り上げられた。

「え、あちょっ、何するわけ、どうしたの、ひとらん！？」

「あーうるせぇ！Aが俺の事見ないでぬいぐるみばっか見てるから悪いんだろうが！！」

ガチギレしながら叫ぶひとらんにふと私は何故こうなったか分かった気がした。

「………もしかして、ひとらん。嫉妬、したの？ぬいぐるみに？」

「ああそうだよ！笑いたければ笑えば！？」

顔を真っ赤にさせながら叫ぶひとらん。そんな姿が可愛いと思える私はもう重症かも。
ふふ、でもそっかぁ、嫉妬かぁ。嫉妬してくれたのか、たかがぬいぐるみなのに。一番好きなのはひとらんなのに。

でも確かにひとらん本人に呼ばれてるのにぬいぐるみ版ひとらんもどきにばっか目を向けていた私も悪いよな。私ももしそうなったら、嫉妬するもん。

「ふふ、ごめんね、ひとらん。お詫びにひとつだけ何でもしてあげる」

私がそう言えばひとらんは少し考え込んだ後、何かを思いついたのか、ニヤリと笑う。

「家に帰ったら、覚えておいてね？＿嫉妬させた分、沢山愛してあげるから」