【wrwrd】暗殺者の名にかけて。

27人目 ページ29

「あ“ッ、ハッ、」

荒く息をしながら彼女は部屋からでる。

目の前に一人の兵士が現れた。

手を大きく振る。

兵士の首が飛んだ。

赤いカーペットに広がる赤い血。

それを見て、彼女は不敵に笑った。

「クククッ」

周りにいた兵士がざわつく。

『お、おい、あれ、フォック様じゃないのか・・・？』

『なんで仲間の兵士を殺してるんだよ・・・』

『とっ、とりあえず逃げるぞ！あのままじゃ絶対に俺らも殺される！』

『俺、グルッペン様に報告してくるよ！』

彼女は自分から離れようとする兵士達を、冷酷に、一瞬で殺していく。

爛々と光る赤黒い目は、見た者にトラウマを植えつけそうなほど恐ろしかった。

「タリナイ、タリナイ。モット。」

返り血を大量につけた服。

傷の入ったブーツ。

血のこびりついたナイフ。

仮面のない顔。

それらは次々と兵士を殺していく。

城内は一層騒がしくなった。

行方不明になった兵士らを探す者。

狂った彼女から逃げる者。

狂った彼女のことを報告しに走る者。

彼女を狙って剣を抜く者。

いろんな人間が混ざってもみくちゃになっていた。

正確に時を刻んでいた時計は飛び散った血で見えなくなった。

優しい炎をつけていた蝋燭は飛び散った血で火が消えた。

滑らかな石で出来た城の壁は飛び散った血で赤く染まった。

元の平和で、何処か緊張した城の姿はどこにもなかった。

残酷で、グロテスクな城へと変貌を遂げていた。

狂った彼女によって。

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