第59話：初デート ページ6
第59話
「初詣行ってくるね。」
「え！？姉ちゃん初詣そんなカッコで行くの？」
1月1日、朝9時。家族でおせちを食べて、遠方に住むおじいちゃんおばあちゃんに「あけましておめでとう」の電話をして、ちゃっかりお年玉を貰って。一段落したところで、運動着に着替えて玄関に向かった。
外はそれはそれは寒いだろうけど、すぐに熱くなるから問題ない。
玄関にしゃがみ、靴を履く私の後ろで、弟が驚いたように声を荒らげた。
「初詣は何着ていってもいいでしょ」
「そうだけどさ……だって一緒に初詣行くのって……」
そう弟が言いかけた時、ピンポンとインターホンが鳴った。さっきもうすぐ着くとメールが来ていたから、彼かもしれない。
立ち上がってドアを開けると、そこには同じく運動着に身を包んだ影山くんが、白い息を吐きながら立っていた。
「か、影山さん！チワッス！！」
「……おう。」
私に向かってナヨナヨと話しかけていた姿はどこへやら。背筋を伸ばし、しっかり90度のお辞儀をして、弟は元気いっぱいに挨拶をした。
影山くんが短く返事をしたのを確認して、私も1歩、外へと足を踏み出す。
押し寄せてきた冷気は凄まじく、思わず身震いしたけれど、少しの辛抱だ。
「じゃあ、ランニングついでに初詣行ってきます。」
「初詣はランニングついでに行くもんじゃねぇよ……」
小さく弟のボヤキが聞こえた気がしたのはきっと気のせいだ。ドアを閉め、寒さで縮こまろうとする体をうんと伸ばす。
軽くストレッチをして、アキレス腱を伸ばして。準備は万端だ。
「スピード、合わせてもらうことになっちゃうけど……」
「別に。それ見越して先にちょっと走ってきたから気にすんな。」
「さすが影山くん。」
私も、そのストイックさを見習わなければ。
よーいドンでランニングを開始する。最初は寒いけど、この冷たい空気の中走る爽快感は、どの季節にもない楽しさではある。
ハッハッと吐き出す息は白く、喉に届く空気の冷たさを感じながら、私たちは1番近い神社までランニングをして向かうと決めた。
「練習、どうだ。」
「うん、やっぱり結構キツイ。
でも、それよりも楽しいの方が勝ってる。」
新山女子に編入が決まってから、放課後はずっと新山女子の練習に参加をしている。少し遠いから、部活の初めから練習参加はなかなか難しいけれど、それでも最高の環境で練習をさせて貰えるありがたさを感じていた。
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しおり(プロフ) - りんさん» ありがとうございます！ネタ考えます🤔 (2022年11月30日 8時) (
レス) id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - マジで面白いです！いつも楽しみの更新待ってます (2022年11月27日 20時) (レス) id: e34fa82e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しおり | 作者ホームページ：http://nanos.jp/amakusa40/
作成日時：2022年10月10日 21時
