第67話：世界へ ページ41
第67話
1年生。初めての春高の舞台で、私は他校からの編入前という中途半端な位置で、応援席にいた。
2年生。インターハイからレギュラーとして出場し、ベスト8。春高は第3位。
3年生。副キャプテンとして挑んだインターハイも3位だった。
オポジットのポジションも大分板に着いてきたと思う。ジャンプ力もついたし、自信もついて、メンタルも強くなった、はずだ。多分。否、あの頃に比べたら確実に。
毎日の練習に、自主練。食事にも気を使って、筋トレとメントレも忘れた日はない。
──泣くなよ。
1年生の春高。マネージャーとして所属していた頃の烏野の皆と食事を囲んだ最後の日。あの時から、私は泣くのをやめた。
飛雄くんのあの言葉は、決してそういう意味じゃなかったと思うけど、私がそうしたいと思ったから。
泣いて気持ちを発散させるんじゃなく、バレーにぶつけたいと思ったんだ。
悔しいも、苦しいも、楽しいも、嬉しいも。涙が溢れそうになるほどの昂りを、バレーに。そうしたらもっと、上手くなれる気がした。
「……」
ピッとホイッスルが鳴り、両手で挟んだボールを顔の前に掲げ、深く息を吐いた。
高校3年生の春高バレー、決勝。初めて、この舞台に来た。
3位決定戦で経験したセンターコート。先輩たちが経験させてくれた、貴重な経験をここでも活かしたいと思った。
1番目のサーブ。プレッシャーはある。皆からの視線も痛いくらいに感じている。スカウトの目。テレビ中継のカメラ。実況者の姿。何もかもが、私のメンタルを容赦なく刺激する。
でも、私だって、強くなったんだ。そんなことでは揺るがないように努力した。
「……っ」
ポンとボールを高く投げ、助走をつける。
1年生の時、社会人バレーで練習を始めたジャンプサーブ。いつ、どんな時でも、同じ高さ、同じ場所にボールを投げられるところから練習を始めたっけ。
体に染み付いた動き、力、タイミング。
気持ちのいいスタートダッシュを切るために。思い切りボールを打った。
「っし！！」
当たりは申し分無し。勢いよく飛び込んだボールを、相手チームが大きく弾いた。
1点目、サービスエースだ。
「ナイスA！」
「さすがです！もう一本お願いします！」
わっと盛り上がり、チームメンバーとハイタッチをしてまわる。その勢いのまま走ってサーブラインまで下がりながら応援席を見上げれば、案の定飛雄くんがいた。飛雄くんどころか、日向くん、月島くん、山口くんもいる。
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しおり(プロフ) - りんさん» ありがとうございます！ネタ考えます🤔 (2022年11月30日 8時) (
レス) id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - マジで面白いです！いつも楽しみの更新待ってます (2022年11月27日 20時) (レス) id: e34fa82e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しおり | 作者ホームページ：http://nanos.jp/amakusa40/
作成日時：2022年10月10日 21時
