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「皆が会いたがってるとか言うと、Aは無理してでも時間つくっちゃいそうだから、さりげなくな。」
「……はい」
さりげなく……さりげなくって、なんだ。どうやるんだ。
キャプテンに言われた言葉の意味を上手く飲み込めないままに電話をかける。
「そんな器用なマネ、影山が出来るわけないじゃないですか。」
と、鼻で笑いながら言う月島は俺を不器用だと言いたいのか。
少しのいらだちを感じながら、コール音に耳を済ませた。
『うわ、あ、はい！もしもし？』
相部屋だからだろうか。少し慌てた様子のAの後ろで、バタンと扉が閉まった音が聞こえた。電話に出たということは、少なくとも、自由時間のタイミングではあったようだ。
「今大丈夫か」
『うん、大丈夫だよ。』
Aの声を聞こうとしているのか、西谷さんや菅原さんが俺の携帯に耳を近づけてくる。
さっきのキャプテンの助言があったからか、誰かが電話越しのAに声をかけることはなく、静かに耳を傾けるか、それぞれの時間を過ごしているようだ。
「その……み、」
皆が会いたがってる。と言いかけて何とか止まった。喋ってる俺がキャプテンの言いつけを破ってどうする。
慌てて口をつぐんで、ごほんと1度咳払いをする。
ほらね、と少し離れた位置で月島が言ったのが聞こえて、自分の眉間にシワが寄ったのがわかった。今からちゃんと誘って見せるから黙って見てろ。
「せっかくだし……ちょっと、会うか。
……お前が、よかったら……。」
言ってから、もしかして俺からAを誘うのは付き合ってから初めてなんじゃないかと気づいた。
照れくさくなって、意気込んだにもかかわらず、もごもごと覇気のない喋りになってしまい情けなくなる。
正月に少し思い切ったことが出来たと思ったのに、もうこれか。
「もっと腹から声出せよ！」
「照れてますよアイツ！照れ山！」
田中さんの小声の罵声を受け止め、茶化してくる日向を無言で蹴り飛ばした。正月から思っていたがなんだその照れ山って呼び名は。気に入ってんじゃねぇぞ。後でもっとぶっ飛ばす。そう苛立ちを感じていたその時、
「うん、会う！会いたい！」
耳元で至極嬉しそうなAの声が聞こえて驚いた。今までAから誘ってきた時は、こんなにはしゃいだ様子ではなかったはずだ。
たった数分しか会えないだろうが、よほど烏野が恋しかったのだろうか。
不思議に思いながらも、5分後にホテルの前で待ち合わせる約束をして電話を切った。
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しおり(プロフ) - りんさん» ありがとうございます！ネタ考えます🤔 (2022年11月30日 8時) (
レス) id: 0e2f0640dd (このIDを非表示/違反報告)
りん - マジで面白いです！いつも楽しみの更新待ってます (2022年11月27日 20時) (レス) id: e34fa82e55 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しおり | 作者ホームページ：http://nanos.jp/amakusa40/
作成日時：2022年10月10日 21時
