14話 ページ15
『はい、ヒーローとはどういう職業?』
芦戸「人を救ける職業!!」
『人の何を救ける?』
芦戸「そりゃ命を…!」
『命を救ける。そりゃ当たり前のことだ。』
私は何もわかってなさそうな1年に聞く。
『君達、日本全国の人口はどのくらいか知ってるか?』
上鳴「へ?」
切島「1億、とか?」
耳郎「そのくらいは居そうだよね。」
『はァ…日本のヒーロー志望が最低限救けなきゃいけない人数を知らないでどうする…』
私は思わずため息を吐いた。
すると1年は「あ…」と声を漏らす。
『イレイザー。答えられるよな?』
相澤「1億2550万2000人。」
『さすがプロヒーロー。そう、今の日本には1億2550万2000人が存在する。ヒーローはその1億2550万2000人を守る義務がある。』
数字をよく覚えておけよ、と釘刺し、話を続ける。
『じゃあ、年間で自ら己の息を引き取った人数はどのくらいか知っているか?』
緑谷「え……」
『まぁ知らないだろうな。人口すら知らなかったから。』
『およそ3万人だ。』
生徒らは目を見開く。
まるで"知らなかった"という目だ。
『さぁ、何故こんな人数の人達が自ら命を絶つ?』
考えて答えてみろ。
緑谷「い、じめ…とか…」
瀬呂「孤独になったから…?」
峰田「個性の暴走とか…」
『何故そんな自信なさげに発言するんだ。この問に間違い等ない。ハッキリ言え。こっちは真面目な授業をしてるんだ。』
緑谷瀬呂峰田「「はい!!」」
『まぁ大体正解だ。』
もっと具体的な例が欲しかったが…
『挙げてもらった物事に、ヒーローが関与することは難しい。
約3万人、我々ヒーローは救けられずにいる。
あのオールマイトを含め、全国のヒーローが約3万人の人の死を許してしまっている。』
ヒーローは、まだまだ未熟である。
『これは私が一年の職場体験で起きたことだ。
とある事件から救けた20代女性に「何で私を救けたんだ」と罵声を浴びせられた。』
「「!!」」
『人の命を救けるのが当たり前。その頃の私もそう思っていたさ。救けてやった相手に、何だその言い草はって思った。
けど、その女性は会社で上司からのパワハラやセクハラ、同期や部下からの陰口、結婚を考えていた相手に捨てられたらしい。
話を聞いた後、最後に発した彼女の言葉は「消えたい」だ。
泣きながら、鼻声で、掠れた声でそう言っていた。』
『そんな彼女を私は救けられなかった。』
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えむ.(プロフ) - いつも素敵な作品ありがとうございます!公開する話、間違えてませんか?34話から38話に飛んでますよ! (2023年2月16日 17時) (レス) id: 2303707e13 (このIDを非表示/違反報告)
りんご(プロフ) - 最高です>_<♡めちゃハマりました更新待ってます❤️🔥❤️🔥 (2023年2月13日 17時) (レス) @page35 id: 8b4cfe6f33 (このIDを非表示/違反報告)
柳 - プレゼントマイク好きすぎる! (2023年2月11日 18時) (レス) @page34 id: 24b8fbf003 (このIDを非表示/違反報告)
神無(プロフ) - すごい好きです!大好きです!!!なーーさん、これからも更新待ってます!! (2023年2月11日 9時) (レス) @page32 id: 7184837e82 (このIDを非表示/違反報告)
リリ - 続き全裸期待してます!! (2023年2月7日 12時) (レス) @page28 id: 59202c5c61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なーー | 作成日時:2022年12月28日 16時