19.お揃い ページ19
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蘭「お、三つ編み。」
ある日、いつものように空き教室へ向かうと
いつもは下ろしているAの髪が、今日は俺と同じ三つ編みになっていた。
『蘭くんとお揃いっ』
Aが可愛い笑顔で三つ編みを両手に持つ。
コイツどんだけ俺のこと好きなんだよ。
蘭「お前これからずっとその髪な。それともう少し伸ばせ。」
『んふふ、お揃いですね。』
Aは、この空き教室で着替えることがなくなった。
何処で着替えているのかと聞けば、トイレで着替えているらしい。
「ここで着替えていい」と伝えたが、傷を見られたくないようだった。
蘭「なぁ、お前のその傷何なの?古傷…でもないみたいだし」
しかも、傷のある場所はいつも服の上からじゃ見えないような場所ばかり。
『今はまだ、聞かないでください。いつか、いつか蘭くんに話します。」
傷のことを聞くと、Aは決まってこう返答する。
蘭「…わかった。」
俺は、それほどに頼りないのか。それとも、話せない事情があるのか。
真相は分からない。
また別の日、学校の廊下でうずくまっているAを見かけた。
何してんだアイツ?
体を小さく縮こませ、何かをぎゅっと握っている。
蘭「…――」
声を掛けようとしたところで予冷が鳴ってしまい、Aは立ち上がり自分の教室へ向かってしまった。
その光景を見たとき、俺は思った。
次に会った時、多少強引にでも傷のことを聞き出そうと。
アイツが何かを抱えているのは明確だった。
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作者名:平 | 作成日時:2021年11月24日 14時